現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 産業用ロボット特別教育の内容は?資格や社内実施の方法、受講の流れ

特別教育に活かせるかんたん動画マニュアル「tebiki」を展開する現場改善ラボ編集部です。

産業用ロボットの導入は生産性を格段に向上させますが、同時に現場責任者や人事担当者に重くのしかかるのが「特別教育」の義務です。「誰に受けさせるべき?」「外注と社内どちらが得か?」といった運用面の迷いは尽きません。さらに深刻なのは、「講習を受けたはずなのに、現場で動けない」「OJTの手間が減らない」という実務とのギャップではないでしょうか。

本記事では法令に基づく基礎知識や費用相場、資格取得に留まらず「現場で活きる教育体制」の構築方法、運用面での課題解決策まで解説するので是非ご覧ください。

ちなみに、特別教育の社内実施に導入される手段として「動画マニュアル(tebiki)」がよく検討されています。危険を伴う作業の「正しい動き」と「やってはいけない動き」を、言葉や個人の感覚に頼ることなく、誰もが目で見て正確に理解・習得できるからです。詳しくはこちら

さらに労働安全衛生法で定められた義務をただ果たすだけでなく、従業員の安全を確実に守る「本質的な」特別教育を社内で実施するための具体的な進め方について、専門家が監修した以下の資料で詳しく解説しています。

>>【元労基署長監修】社内実施による本質的な特別教育の進め方を見てみる

目次

産業用ロボットに必要な「資格」とは?法令に基づく特別教育の義務

産業用ロボットを運用する上で、労働安全衛生法に基づいた「特別教育」の実施は単なる推奨事項ではなく、事業者に課せられた厳格な法的義務です。万が一の労働災害発生時、教育の有無は企業の安全配慮義務の履行を測る重要な指標となります。

ここでは、経営層や現場責任者がリスクマネジメントの観点から必ず把握しておくべき法令の基礎について、以下の4つの重要ポイントに絞って解説します。

労働安全衛生法が命じる義務!特別教育が必要な理由

産業用ロボットを扱う業務において、特別教育の受講は「推奨」ではなく、労働安全衛生法で定められた「義務」です。具体的には、第59条第3項*1において以下のように明記されています。

第五十九条 

3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

引用元:e-GOV「労働安全衛生法第59条」

産業用ロボットは高い生産性を誇る反面、操作を誤れば重大な死亡事故につながる危険性があるため、法律で「機械の構造や機能を正しく理解していない者」が安易に触れることが禁じられています。

「うちはベテランが多いから」「操作が簡単だから」といった理由は、法的な免除理由にはなりません。事業者は従業員の安全と命を守るための条件として、特別教育の実施を徹底する必要があります。

関連記事:【特別教育】社内実施の注意点3つと修了証の自社発行を解説

「教える」「直す」だけじゃない!受講すべき業務範囲

特別教育が必要な業務は、労働安全衛生規則第36条*2に基づき、第三十一号(教示等)と第三十二号(検査等)の2つに厳密に分類されています。これは、ロボットに動きを覚えさせる「プログラミング」と不具合を直す「メンテナンス」では、身につけるべき安全知識が異なるためです。

第三十一号(教示等)は、可動範囲内での動作設定や速度変更といったティーチング作業が該当します。第三十二号(検査等)は、運転中の修理、調整、点検といった保全作業を指します。ここで重要なのは、危険エリア内で作業する人だけでなく、外で操作盤を扱う共同作業者(監視者)も教育対象になるという点です。

現場責任者は、「誰がどの作業をするか」をこうした分類に従って整理し、漏れのない受講計画を立てることが必要となります。

特別教育は「資格」の一種?免許・技能講習との違い

労働安全衛生法では、危険業務への従事要件を第61条の「就業制限(免許・技能講習)」と、第59条の「特別教育」に区別しています。実務上は、こうした法的根拠の違いに基づき、危険度順に「免許」「技能講習」「特別教育」の3段階として整理できます。

上位の「免許・技能講習」が指定機関での試験合格を要する一方、「特別教育」は事業者に実施責任があるのが最大の特徴です。しかし、これは「簡単な社内講習で済む」という意味ではありません。法令で定められた規定時間とカリキュラムを厳守し、労働安全衛生規則第38条により、その実施記録を3年間保存する義務があります。

当然、フォークリフト等の他資格を持っていても、産業用ロボットの操作はできません。人事担当者は互換性のない「業務専用の資格」であることを理解し、正しい紐付けをして管理を行う必要があります。

無資格作業が招くリスクとは?法令違反と企業が負う責任

特別教育を受けさせていない従業員に作業させることは、労働安全衛生法第59条第3項に対する明確な違反行為です。その場合、事業者には同法第119条に基づき「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という刑事罰が科される可能性があります。

さらに深刻なのは、労働災害発生時の民事責任です。無資格作業中の事故は、労働契約法第5条*3に基づき企業が負うべき「安全配慮義務」の欠如とみなされ、被害者や遺族からの損害賠償請求があるケースも想定できます。

加えて、労働基準監督署による是正勧告や書類送検、企業名の公表といった社会的制裁により、信用は一瞬で失墜します。「教育コストの削減」という安易な考えが、結果として労働安全衛生法第59条の違反を招き、企業の存続を揺るがす最大のリスクになることを経営者は認識すべきでしょう。

関連記事:【製造業向け】労働安全衛生法とは?義務一覧や罰則・安全対策の具体例

産業用ロボット特別教育の内容を詳しく解説

産業用ロボットの特別教育は、法令に基づいた「学科」と「実技」のカリキュラムで構成されています。ここでは、具体的な実施内容について以下5項目をもとに解説します。

必須の知識を学ぶ学科(構造・教示方法・安全装置など)

学科教育は、産業用ロボットの安全な制御と運用を支える「理論的基盤」を構築する場です。強力な出力を持つ可動部(アーム)の駆動機構や制御原理を把握せずに操作することは、重大な事故を誘発する極めて危険な行為と言わざるを得ません。

具体的にはロボットの基礎知識や駆動システムの特性、教示(ティーチング)の正確なプロセスを体系的に習得します。あわせて、非常停止装置やインターロックといった安全装置の機能、および遵守すべき関係法令についても深く学びます。

なお法令上、内部構造への深い理解を要する「検査・修理等」の業務は、動作プログラムを扱う「教示等」の業務よりも長い学科教育時間が定められています。不測の事態に直面した際、経験則に頼らず論理的根拠に基づいた適切な判断を下すために、学科教育は安全の根幹を成す極めて重要な工程です。

トラブル時に冷静に対処する理論武装として、学科教育を絶対に軽視してはいけません。

実践的な操作を習得する実技(教示操作・動作確認・安全動作)

学科での理論的な理解と、実際にティーチングペンダントを手にし、質量のある可動部を制御する感覚は全く別物です。そのため、机上の知識を現場で通用する実戦的な「技能」へと昇華させる実技教育が不可欠となります

実技講習では、実機を用いてアームの基本操作や動作プログラムの入力を反復習得します。単なる操作手順に留まらず、非常停止装置の確実な操作、安全柵内への入退室管理、指差呼称による安全確認といった「非定常作業における安全行動」の徹底が主眼となります。

現場でのOJT期間を短縮し、未経験者を早期に即戦力化させるためにも、体系化された質の高い実技教育は、投資対効果の極めて高い工程といえます。

事故を未然に防ぐための安全教育(リスクアセスメントなど)

特別教育の真の目的は、単なる操作技術の習得以上に組織としての「安全意識」を徹底的に醸成し、定着させることにあります。産業用ロボットによる事故は重篤な挟まれ・激突など、物理的に「不可逆な人身事故」へ直結するリスクを常に孕んでいるためです。

教育カリキュラムでは過去の労働災害事例を深く掘り下げ、事故に至る因果関係を客観的に分析します。さらに、作業環境に潜む危険源を事前に特定し、リスクの低減措置を講じる「リスクアセスメント」の手法を習得します。これにより「なぜその手順が禁止されているのか」という禁止事項の背後にある技術的根拠を理解でき、作業員の危険感受性が飛躍的に高まります。

安全教育とは、単なる法令遵守(コンプライアンス)のための形式的な手続きではありません。現場に関わる全員の命を守るための「安全文化」を構築する、最も実効性の高い投資なのです。

※以下の資料では、危険作業における安全対策の新しい教育アプローチについて解説しています。

>>「工場の労災ゼロを実現する、安全教育の新常識」を見る

受講に必要な時間・日程の標準モデル

特別教育の受講時間は、安全衛生特別教育規程*4の第18条および第19条によって厳格に定められており、1分でも不足すれば法令違反となります。

具体的には、第18条が定める「教示等」の場合、ロボットに関する知識2時間、教示作業に関する知識4時間、関係法令1時間の計7時間の学科に加え、実技3時間を含む合計10時間以上の受講が必要です。一方で、第19条の「検査等」では、学科9時間と実技4時間の合計13時間以上と、より長時間のカリキュラムが義務付けられています。

標準的な日程は丸2日から3日を要しますが、最近では現場の稼働を止めない土日開催や、学科の一部をオンラインで受講できる柔軟なコースも増えています。生産ラインへの影響を最小限に抑えるためにも、業務の繁閑を見極めた計画的な受講スケジュールを立てましょう。

教育にかかるコストを理解する(受講料・移動・工数など)

教育コストは、目に見える受講料だけでなく「見えないコスト」も含めて考える必要があります。外部講習への参加は移動費や宿泊費に加え、現場を離れる人件費(工数)の損失を生むからです。

外部受講料は1人あたり数万円が相場ですが、これに交通費等の経費が加算されます。社内インストラクターを育成して内製化すれば外部支払いは減りますが、教材準備や管理の手間が増えます。特に多拠点の場合、資格管理が煩雑になるため、管理工数も含めたトータルコストで判断すべきです。

安さだけでなく、長期の運用負荷を見据えて適切な実施方法を選びましょう。

産業用ロボット特別教育の受講方法と選び方

産業用ロボット特別教育の受講方法は、大きく分けて以下の3パターンがあります。

加えて具体的な特別教育の受講方法と選び方について、以下2つの事項も併せて解説します。

なお特別教育について外部機関に委託するだけでなく、より実態に即した教育を行うために「社内実施」を検討する企業も増えています。ただし、単に形式的に実施するだけでは意味がありません。従業員の安全を確実に守るには、法律の趣旨を理解した「本質的な」教育を行うことが不可欠です。

法令遵守と実践的な安全確保を両立させる特別教育の社内実施の進め方について、元労働基準監督署長が監修した以下の資料で詳しく解説しています。

>>【元労基署長監修】社内実施による本質的な特別教育の進め方を見てみる

パターン1:ロボットメーカーが提供する講習を受ける

導入するロボットのメーカーが確定している場合、そのメーカーが主催するスクールを受講することは効率的な受講方法です。実機を用いた講習を通じて導入予定の機種に特化した操作方法を直接習得できるため、現場投入後の立ち上げ期間を劇的に短縮できます。

国内主要メーカー(ファナック、安川電機、川崎重工業など)は全国に高度な研修センターを擁し、体系化された質の高いカリキュラムを提供しています。各社固有のティーチングペンダントの操作体系や、高度な安全ロジックを深く理解できる点が最大の強みです。立ち上げ時のトラブル回避や生産ラインの早期安定化を目指す製造現場の責任者にとって、有効な選択肢となります。

一方で、開催拠点が主要都市や特定のトレーニングセンターに限られるため、地方拠点からの受講には移動コストや宿泊費、さらには長期の要員拘束といった負担が生じます。受講を検討する際は、対象機種のバージョンやオプション機能が自社設備と合致しているかを事前に精査することが重要です

パターン2:専門教育機関・外部セミナーを活用する

特定のメーカーに依存せず、幅広く知識・実技を習得したい場合は、労働基準協会や民間の安全教育センターなどの外部セミナーが適しています外部セミナーは定期的に開催されており1名からでも申し込みやすいため、新入社員や配置転換のタイミングに合わせて柔軟に利用可能です。

具体的には、主要都市の会場で「学科」と「実技」をセットで行うコースが一般的です。メーカー講習に比べて受講料が割安なケースが多く、法令に基づいた標準的なカリキュラムを網羅的に学習できます。また、土日開催を行っている機関も多いため、工場の稼働を止めたくない現場責任者には魅力的な方法だと考えます。

注意点は、実技で使用するロボットが自社のものと異なる場合、操作感が違うため現場での再教育が必要になることがある点です。あくまで「資格取得」を主目的とする場合に推奨される形式です。

パターン3:社内講師を招いて企業内で実施する

受講対象者が多数に上る場合、外部から専門講師を招いて自社施設内で実施する「出張講習」が最も合理的な選択肢となります。従業員が外部施設へ移動する必要がないため、旅費交通費や宿泊費の削減はもちろん、移動に伴う人的リソースの稼働損失を最小限に抑えることが可能です

出張講習では熟練のインストラクターが貴社へ赴き、社内会議室での学科教育と現場の実機を用いた実技教育を並行して行います。日常的に使用している自社設備で教育を受けることで操作習熟度が向上するだけでなく、その現場特有の潜在的リスクを特定する「現場即応型のリスクアセスメント」を同時に実施できる点が大きなメリットです。

教育の完全内製化には指導員の育成や教材管理など多大な負荷が伴いますが、外部講師による社内開催であれば、教育の質を担保しつつ運用負荷を低減できます。特に全社的なコンプライアンス体制の早期構築を目指す人事担当者や、地方拠点で大規模な教育を推進したい経営層にとって、投資対効果(ROI)が極めて高い手法です。

なお、講師の派遣調整には事前のスケジューリングを要するため、余裕を持った計画立案を推奨します。

【補足1】受講者数や業務内容に応じた最適な形式の判断基準

コストと教育効果のバランスは企業の規模や状況によって大きく異なるため、どの講習形式を選ぶべきかは「受講人数」と「求めるスキルレベル」の2軸で判断することをおすすめします。

まず、受講者が1〜3名と少数の場合は、外部セミナーやメーカー講習に個別に参加させる方が手配の手間も少なく低コストで済みます。一方、5名〜10名以上のまとまった人数の場合は、講師派遣費用を払ってでも出張講習(社内開催)にした方が、トータルコストは安く済むでしょう。また、保全担当者など高度なメンテナンス技術が必要な場合は、費用がかかってもメーカー講習へ送り出すべきです。

「受講料の安さ」だけで選ぶと、移動費が多額になる可能性や現場でうまく使えない知識を習得してしまう可能性はあります。「誰に、どのレベルの教育が必要か」を整理し、適した形式を使い分けることが重要です。

【補足2】受講をスムーズにするために準備しておくべきこと(服装・基礎知識など)

特別教育を実りあるものにするには受講日当日の準備だけでなく、事前の心構えと基礎知識の予習が欠かせません。特に実技講習は危険を伴うため、不適切な服装や準備不足は受講そのものを断られる可能性があるからです。

服装は長袖長ズボンの作業服、安全靴、ヘルメットの着用が原則です。実技では実際にロボットを動かすため、巻き込まれ防止のために袖口が締まる服装を選び、装飾品は外しましょう。また、学科では電気や力学の専門用語が登場するため、事前にテキストに目を通すか、動画教材などでロボットの動きのイメージを掴んでおくと理解度が格段に上がります。

加えて筆記用具や本人確認書類も忘れずに持参してください。「ただ座っていれば資格がもらえる」という受身の姿勢ではなく、現場の安全を持ち帰るという意識で臨むよう、送り出す側も指導しましょう。

資格取得だけでは現場は回らない?産業用ロボット運用における「実務の課題」

産業用ロボットの特別教育を修了しただけでは、現場の戦力としては不十分なのが現実です。法律上の義務を果たしても、実際の操作スキルや安全意識が定着していなければ事故は防げません。ここでは具体的に、講習受講後に現場が直面しがちな「実務の壁」について以下の3点を解説します。

  • 講習は「受けて終わり」では現場作業が定着しない
  • 産業用ロボット安全運用の鍵は「一般論」から「自社ルール」への変換
  • 特別教育と現場スキルの「乖離」を埋める育成計画

講習は「受けて終わり」では現場作業が定着しない

特別教育の修了はあくまでスタート地点であり、ゴールではありません。真の目的は、習得した知識を基に「現場で安全かつ確実に運用できる状態」を構築することにあります

しかし、外部講習で扱うのは標準的な操作に限られます。自社特有の工程やローカルルールまでは網羅されないため、「資格はあっても実務で動かせない」という技能ギャップが必然的に生じます。

このギャップを放置すれば知識は形骸化し、重大事故のリスクを高めます。講習内容を自社の作業手順へと落とし込み、実務レベルまで定着させることこそが、現場管理者の果たすべき責務です

産業用ロボット安全運用の鍵は「一般論」から「自社ルール」への変換

特別教育で学ぶ法令や理論はあくまで一般論であり、安全運用には自社の現場に即した「落とし込み」が不可欠です

例えば「異常時は停止」という原則も、現場で「何が異常か」の定義が曖昧では機能しません。管理者は講習内容を噛み砕き、「赤ランプ点灯時は即停止」といった具体的行動基準へ変換する必要があります。この橋渡しを怠れば、作業員の自己判断が横行し、重大な事故やヒヤリハットを招く原因となります。

全員が迷わず同一の安全行動を再現できるよう、教育内容を実務とリンクさせた「標準手順書」の整備を徹底しましょう。

一方で、「作業手順書はあるが読まれていない…」「安全ルールが遵守されない…」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。現場改善ラボでは、作業ルールを守らせる効果的な方法についてまとめたガイドブックもご用意しておりますので、併せてご覧ください。

>>“手順書通りにできない”から卒業!作業ルールを守らせる効果的な方法とは?(無料公開中)

特別教育と現場スキルの「乖離」を埋める育成計画

「特別教育の内容」と「現場の実務スキル」には、大きな隔たりがあることも。教育の主眼はあくまで「安全確保」にあり、生産性を高める応用操作や効率的なテクニックまでは網羅されないためです。

実際に、現場では頻発するチョコ停への対処や微細な位置補正など、実戦的な対応力が求められます。また、受講機材と自社設備のメーカーが異なれば、UI(操作体系)の再習得も必要です。これら「教育と実務のギャップ」を埋めるには、現場での丁寧なOJTや熟練者による指導が不可欠となります。

「資格取得=即戦力」と過信せず、修了後の手厚いフォローアップをあらかじめ育成計画に組み込んでおくことが、安全と生産性を両立させる要諦です。

次章では、いざ教育や育成を実践しようとした際に直面しがちな4つの課題について注目します。

特別教育の実施を妨げる4つの課題

産業用ロボットの特別教育を現場で運用する際、多くの企業が以下の4つの課題に直面します。

  • 紙マニュアルは伝わりにくく更新も大変
  • OJT依存による教育のばらつき
  • 教示・検査作業で起こりがちなミスと属人化
  • 受講後のフォロー不足による安全リスクの高まり

このような課題を解消し、法令遵守と実践的な安全確保を両立させる特別教育の社内実施の進め方について、元労働基準監督署長が監修した以下の資料でも詳しく解説しています。

>>【元労基署長監修】社内実施による本質的な特別教育の進め方を見てみる

紙マニュアルは伝わりにくく更新も大変

産業用ロボットの立体的な挙動や操作盤の微細な手順は、静止画と文字だけでは直感的に理解しにくく、紙媒体での伝達には限界があります。膨大な手順書を配布しても新人は要点をつかめず、結局は熟練者の工数を奪う質問が繰り返されることも考えられます。

さらに深刻なのが更新負荷です。工程変更のたびに写真撮影や差し替えを行う手間は担当者の負担となり、結果として古い情報が放置される原因となります。これは誤手順による労働災害を招く重大なリスクです。

教育の質を向上させつつ管理負担を軽減するには、こうした課題を根本から解決できる「デジタル媒体」への移行が不可欠です。

関連記事:カンコツが伝わる!「現場で使われる」作業標準書のポイント

OJT依存による教育のばらつき

現場任せのOJTは指導者のスキルや多忙さに教育の質が左右されるため、作業員間で安全意識や技能レベルに深刻な乖離を生じさせます。指導者によって教え方が異なる、あるいはマニュアルにない「自己流の作業」が伝承されることは、組織的な標準化を阻害する大きな要因です。

特に繁忙期に説明を省いた「見て覚える」式の指導が常態化すれば、未熟なまま実務に投入されるリスクが高まります。これでは特別教育の精神が現場に浸透せず、組織としての品質や安全の管理体制は形骸化してしまいます。教育の属人化を排除し、いつ誰が教えても一定の質を担保できる「教育の標準化」に向けた仕組み作りが不可欠です。

関連資料:繰り返される品質不良~作業手順は静かに形骸化していた~

教示・検査作業で起こりがちなミスと属人化

教示(ティーチング)や検査等の高度な専門業務は、特定の熟練者に依存する「属人化」が顕著に現れる領域です。特定個人に作業が依存した結果、「担当者不在で生産が長時間停止する」といった事業継続上のリスクが常態化します。

また、属人化は重大なミスの温床です。教示時の微細な入力ミスや検査の漏れを他者が検証できない「作業のブラックボックス化」は、一歩間違えれば重大事故を誘発します。熟練者の暗黙知を可視化・共有し、チーム全体で安全と品質を担保できる「標準化された体制」への移行が急務です。

関連資料:製造現場の属人化リスク 標準化を促進して生産性を高める 実践的な方法とは

受講後のフォロー不足による安全リスクの高まり

特別教育受講後のフォローを怠ることは、現場の安全リスクを直結させます。講習で得た知識は時間の経過とともに薄れ、日々の慣れが「慢心」を生むからです。

受講直後は基本を遵守していても、フォローがなければ「これまでは大丈夫だった」と、指差し確認の省略や安全装置の無効化といった不安全行動が常態化しかねません。また、管理者側にも「資格を取らせたから安心」という過信が生じれば、現場のモニタリングは形骸化します。労働災害は、こうした教育効果の薄れた「隙」を突いて発生するものです。

受講後も定期的な知識共有や現場点検を継続し、作業員の行動を是正し続ける体制維持こそが、安全管理の本質です。

関連資料:安全意識が高い製造現場はやっている! 動画マニュアルを活用した安全教育・対策事例

現場で特別教育を実施するには「動画」の活用がおすすめ

先述したような課題を解消し、産業用ロボットの特別教育を効果的に行うには、動画教材の活用がおすすめです。複雑な動きや危険箇所を視覚的に伝えることで、紙マニュアルの限界を乗り越え、教育の質と効率を劇的に向上させられます。ここでは具体的に以下の4点について解説します。

  • 視覚的に理解できるからロボット操作が定着しやすい
  • 誰が見ても同じ品質で学べる(教育の均一化)
  • 教示手順・検査内容など“動きのある業務”との相性が良い
  • 日程調整が不要で繰り返し学習が可能

視覚的に理解できるからロボット操作が定着しやすい

産業用ロボットの操作を早期に定着させるには、視覚情報が豊富な動画マニュアルが効果的です。

例えば、新人作業者に「アームをX軸プラス方向に動かす」と文章で伝えるより、実際の動画で動きを見せた方が一瞬で伝わります。複雑なボタン操作の順序も、動画なら手元のアップを見ながら真似るだけで再現可能です。さらに、動画であれば言語の壁を越え、外国籍社員にも細かいニュアンスを伝えやすくなります

実際に化学メーカーである児玉化学工業株式会社では現場で働く外国人の多言語化が進んでおり、動画マニュアルによる標準化推進を実現しています。

※以下の動画は同社の現場従業員がスマホで作成した、実際のサンプル動画です。

▼動画マニュアルによる標準化の例▼

「tebiki」10分で作成

上のような動画を利用すれば、視覚的に納得して覚えられ、操作は記憶に残りやすくなります。

誰が見ても同じ品質で学べる(教育の均一化)

動画教材を導入する最大のメリットは、指導者のスキルに依存せず、教育の質を完全に均一化できることです。従来のOJTでは、教える先輩によって「説明が上手い・下手」や「自己流の危険な手順」といったばらつきがあるのは「普通」でしょう。しかし「普通」に甘んじ、ばらつきによって作業方法の違いが出るのは由々しき問題です。

一方で、熟練者の正しい手本を撮影した動画なら「いつ、誰が、どこで見ても」均一な教育が受けられます。また、動画であればいつでも繰り返し視聴が可能なため、忙しい先輩社員が付きっきりになる必要もありません。

実際の活用例として、明和工業株式会社では作業場にディスプレイを設置し、QRコードで即座に動画マニュアルを呼び出せる仕組みを設けました。

※同社が活用している動画マニュアル作成ツールの詳細はこちら

こうした事例を考えると、すぐに正しい操作方法が視覚的にわかるのは動画の強みといえるでしょう。

教示手順・検査内容など“動きのある業務”との相性が良い

特別教育で学ぶ「教示」や「検査」は「動き」そのものを扱う業務であり、動画との相性が抜群です。ネガティブな話をすると、ロボットがどのくらいの速度で迫ってくるか、異音はどんな音かといった情報は文字では伝りづらいので、従来の紙のマニュアルとの相性は極めて悪いです。

動画では教示作業における「インチング操作」の微妙な加減や、検査時のグリスアップの手順などは、連続した映像で見て初めて理解できます。動画なら、危険なエリアへの立ち入り手順も、作業者の目線映像で疑似体験可能です。「動きのある業務」を「動くマニュアル」で学ぶことは、現場のリアリティを損なわずに教育する上で、極めて理にかなった手法と言えるでしょう。

日程調整が不要で繰り返し学習が可能

動画活用は、教育スケジュールの調整コストを減らし、いつでも復習できる環境を作れる点でも優秀です。外部講習や集合研修は、生産ラインを止める必要があり、全員の日程を合わせる必要もあるでしょう。

動画であれば、隙間時間にスマホやタブレットで受講できるため、業務の合間を有効活用できます。また、一度見て終わりではなく、作業前に不安な箇所だけをピンポイントで見返す「復習」が容易な点も強みです。「いつでも、何度でも確認できる」という安心感によって、作業者の不安をなくせます。

動画でマニュアルを簡単に作るなら「tebiki」

動画マニュアルと聞くと『編集スキルがないと難しいのでは?』と感じるかもしれませんが、編集未経験者でも簡単に扱えるツールとして多くの現場で活用されているのが、かんたん動画マニュアル「tebiki」です。

ここでは、tebikiがおすすめな理由として以下の4点を解説します。

  • スマホ1台で簡単に高品質なマニュアルを作成
  • 制御盤操作や教示作業など複雑な工程も「動画で見せる」だけ
  • 新人が受講した特別教育の内容を現場で再確認できる
  • 教育記録の管理・共有も簡単で安全性向上に貢献

スマホ1台で簡単に高品質なマニュアルを作成

tebikiなら、普段使っているスマートフォンがあれば誰でも高品質な動画マニュアルを作成できるため、高価な機材も専門的な編集スキルも必要ありません。

多くの現場管理者は「動画編集は難しそう」「時間がかかる」と敬遠しがちです。しかし、tebikiなら現場で作業風景をスマホで撮影するだけで、音声認識機能が自動で字幕を生成してくれます。さらに強調したい箇所への図形挿入やカット編集も、直感的な操作だけで完結します。

また、100ヶ国語以上の自動翻訳機能を備えており、外国人スタッフへの安全教育も母国語で的確に行えます。

忙しい工場長でも、日常業務の合間に「伝わるマニュアル」を量産できるのが最大の強みです。手軽だからこそマニュアル作りが継続でき、現場のノウハウが蓄積されていきます。

※tebikiのサービス詳細や導入事例については、以下のサービス資料をご覧ください。

>>かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育サービス資料」を見てみる

制御盤操作や教示作業など複雑な工程も「動画で見せる」だけ

ティーチングペンダントの指使いやアームが動くタイミングといった「動きの情報」は、静止画や文字では絶対に表現できないため、産業用ロボット特有の複雑な操作手順を伝えるには「動画で見せる」のが確実で安全な方法です。

紙の手順書で「低速で動かす」と書いてあっても、その「低速」がどの程度かは読み手の感覚に委ねられてしまいます。そこで、tebikiを使えば、熟練者が操作する手元の映像と、実際のロボットの動きをセットで記録できます。「非常停止ボタンを押すタイミング」や「異常音の聞き分け」など、現場の勘所も映像と音声なら一目瞭然。作成した動画はクラウドに保存されるため、バージョン管理の手間もかかりません。

言葉で説明しにくい技術こそ動画に任せることで、教える側の負担を減らしつつ、教わる側の理解度を飛躍的に高めることが可能です。

※tebikiのサービス詳細や導入事例については、以下のサービス資料をご覧ください。

>>かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育サービス資料」を見てみる

新人が受講した特別教育の内容を現場で再確認できる

tebikiは特別教育を受けたばかりの新人が、現場で自主的に学んで仕事をするツールとなりえます。「ここの教示手順、どうだったかな?」と不安になった際、先輩を探して作業を中断させることなく、自分で動画を見て正解を確認できます。

分からない箇所をピンポイントで繰り返し見返せるため、復習の効果も抜群です。「聞くのが怖いから自己判断でやる」という危険な行動を未然に防ぎます。

結果として、新人の独り立ちが早まり、指導役の先輩社員も自分の業務に集中できるようになります。

※tebikiのサービス詳細や導入事例については、以下のサービス資料をご覧ください。

>>かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育サービス資料」を見てみる

教育記録の管理・共有も簡単で安全性向上に貢献

tebikiは誰がどのマニュアルを見たか、どこまで理解したかをクラウド上で自動的に可視化・管理できるため、管理者が悩む「教育管理の煩雑さ」の解決策となりえます。

従来のような紙の受講簿やExcel台帳では、記入漏れや更新の遅れが発生しやすく、監査の際にも証明資料を探すのにも一苦労。そこで、tebikiなら、視聴履歴がレポートとして自動生成されるため「この動画を見ていない作業員」をすぐに特定し、再教育を促せます。また、動画の中に理解度確認テストを組み込むことも可能で、作業の視聴済みから定着済みにさせられます。

法令遵守(コンプライアンス)の観点からも、教育のエビデンスを確実に残せる機能は重要です。管理工数を大幅に削減しながら、組織全体の安全レベルを着実に向上させられるでしょう。

※tebikiのサービス詳細や導入事例については、以下のサービス資料をご覧ください。

>>かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育サービス資料」を見てみる

まとめ:特別教育を「形だけ」で終わらせないために

産業用ロボットの特別教育は法令遵守のゴールではなく、現場における安全運用の「スタート地点」です。講習で得た理論を、実稼働ラインで迷いなく実践できて初めて、従業員の生命と企業の社会的信頼が担保されます。

しかし、ロボット特有の複雑な挙動は紙のマニュアルや属人化したOJTだけでは伝えきれず、事故リスクや教育工数の増大を招いています。こうした「教育と実務の乖離」を解消し現場の技能を平準化するには、直感的に理解できる「動画マニュアル」への転換が極めて有効です。

動画マニュアル作成ツール「tebiki」なら、スマートフォン1台で熟練者のノウハウを即座に可視化・標準化できます。視聴管理機能により学習進捗を正確に記録できるため、コンプライアンス対策も万全です。

「資格取得」を目的とする教育から脱却し、tebikiで「実務に直結する教育体制」を構築することで、安全性と生産性が高度に両立された現場作りを実現しましょう。

引用元/参照元

*1:e-GOV「労働安全衛生法第59条」
*2:e-GOV「労働安全衛生規則第36条」
*3:e-GOV「労働契約法第5条」
*4:労働衛生情報センター「安全衛生特別教育規程」

現場改善ノウハウが届く
「メルマガ登録」受付中!

無料のメルマガ会員登録を行うことで、企業の現場課題を解決する実践的な情報やセミナーをご案内いたします。
様々な現場の人材不足や、生産効率・品質・安全などの課題を解決するための実践的な情報をお届けします。

関連記事

お役立ち資料

現場改善に役立つ!無料で見れる専門家による解説セミナー

新着記事

目次に戻る