かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」を展開する、現場改善ラボ編集部です。
現場で活用される帳票を設計する上で、「どのような手順で作成すればよいのか」「作成する際にはどのようなポイントがあるのか」など、様々な疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
現場に即して設計された帳票でなければ、現場で活用されなかったり、記入する上でストレスがかかってしまったりなどのリスクが考えられます。そこでこの記事では、帳票を設計する手順やレイアウトのコツ、帳票設計を効率的に行えている企業の好事例などを紹介していきます。
目次
帳票設計とは?
帳票は、「帳簿」「伝票」の2つの書類で構成される企業や個人事業主がお金やモノのやり取りを記録した書類の総称です。
帳票設計では、この帳票のレイアウト(構成)やフォーマットを設計することを指します。新たな帳票を作成する時には、法律の改正、業務改善のため、クレームが発生して確認項目を増やす必要があるなど、変更が生じたケースが多いとされます。そのため、帳票設計をする際は目的を達成するために必要な情報を整理することが重要です。
帳票の概要や種類などの基本的な情報は以下の関連記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。
▼関連記事▼
・帳票とは?わかりやすく解説!種類や管理方法、電子化の必要性
・【【製造業】帳票電子化の効果と主要システム比較!帳票の種類やツールの選び方も
帳票設計の必要性について
帳票設計は、必要な項目を決め、入力しやすく見やすい記入レイアウトをデザインすることです。
これにより入力に時間を取られず、入力ミスによるやり直しを減らし、職場で使いやすい帳票にできます。また、修正や改善が必要になった場合でも、どこを直せば良いかすぐに見つかるのでメンテナンスしやすくなります。
そのため、作業効率や仕事の生産性は帳票設計で決まるといっても過言ではありません。
製造現場が抱える帳票の課題
製造現場で使われている帳票には、入力する項目やページ数が多すぎて使いにくい、作成する帳票の種類が多くて工数が発生してしまうなどの様々な課題を抱えているのが現状です。
このように様々な課題の中でも、電子化が進んでおらずに紙・Excelなどのアナログな手法で帳票の作成や運用をしているのも大きな課題としてあげられます。
製造業界及び食品業界に従事する、現場改善ラボ会員の方を対象に向けに実施した「現場帳票のデジタル化に関する実態調査」(回答数:85名)では、現場帳票の管理方法(複数回答)として紙が79%・Excelが59%で、紙/Excelを併用して帳票管理を実施していることがわかりました。

「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」より抜粋
なお、紙/Excelによる帳票運用をしている方を対象に電子化の検討進捗について質問したところ、「今後検討する予定」「現在検討中」と回答した人は、約8割を占めており、多くの方が帳票の電子化・デジタル化を検討している状況が伺えます。
帳票の電子化・デジタル化を進めるうえで、何から取り組むべきか、具体的にどのような手順やポイントがあるのかなどについては、以下の資料で解説しています。リンクをクリックして資料をご覧ください。
>>「帳票設計も丸わかり|はじめての現場帳票デジタル化ガイド」を見てみる
【ステップで解説】帳票設計の手順・進め方
ここまで、帳票設計が重要であることについて解説しましたが、「帳票設計をどう進めてよいのかわからない…」とお考えの方も多いかと思います。そこで、具体的な帳票設計の進め方をステップごとに説明します。
帳票の全体像を決め、必要な項目を洗い出す
まずは作成する帳票の目的を考えます。帳票をどの職場で使い、何を記録として残す必要があるのかを明確にする必要がありますが、5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)で考えて必要な項目を抜けもれなく洗い出すとよいでしょう。
その時、誰が使うのかと、確認・承認するのは誰かも考えておきます。例として、新人が使うのか、熟練工が使うのかによって使う言葉の難易度を変える必要があります。
また、海外出身の作業者がいる製造現場では、どの国の言語を併記するかもあらかじめ考えておくことも忘れずに行いましょう。ただ多言語対応するだけでなく、その帳票の使い方などを教育によって標準化を行うことで、入力ミスを未然防止することができます。
関連記事:外国人労働者の教育課題はこう解決する!5つの指導ポイント
どのような出力様式にするか決める
帳票は記入して終わりではなく、出力して承認し、記録として保管、送付することが目的です。ハンコが必要であれば紙印刷する必要がありますし、電子システムで決済する仕組みが導入されていればPDF形式にするなど、帳票の利用目的と職場の環境を考慮して出力様式を決めます。
最近はペーパーレス、低エネルギー消費にも配慮が必要です。もし社外に転送する必要がない帳票であれば、PDFなど別の書式に変換する必要もなく、入力セルを配置したところにデータや文字を入力してもらい、確認ボタンをクリックするような電子帳票も検討しましょう。
関連記事:ペーパーレス化のメリットと方法は?成功事例や導入のコツも紹介
帳票のレイアウト(書式)を決める
帳票の使いやすさは、入力セルの配置や大きさ、並び順で決まります。できるだけ上から下、左から右に情報を入力するルールに従うようにします。また、作業する順番に並んでいることも重要です。たとえば、始業時に設備の点検をするためのチェックシートの場合、点検する箇所の順に入力欄が並んでいれば、抜け、漏れなく点検することの一助になります。
さらに、重要な入力欄には色を付けたり、作業者が入力する欄と承認者がコメントをする欄などを色分けしておくと、誰がどこに記入するかがわかりやすくなります。加えてシステムから自動的に情報が入力される欄には入力禁止(ロック)処置をしておくことで、入力ミスや書式の破壊を防止することもできます。
帳票設計をするうえでの見やすいレイアウトのコツについては、『帳票設計する上で重要な見やすいレイアウトのコツ』の見出しで紹介しています。
帳票のマスタデータを設計する
帳票に入力が必要なマスタデータの形式を考えます。手入力する情報だけでなく、ネットワークから自動的に入力する日時のような文字データの形式(西暦なのか、和暦なのか、桁数)や、設備、計測器から定期的に自動入力される数値データ、為替レートのように毎日更新される情報の更新頻度など、帳票を埋めるデータの形式を決めます。

「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」より抜粋
例えば、製品名【WRR-1】のマスタがない場合には、記録する際にハイフンのありなしや全角・半角などが混ざってしまい、表記揺れが発生してしまいます。
データをクレンジングする際の工数を削減するためにも、各入力項目ごとのマスタを整備して基準値を明確にしておきましょう。なお、データベースと相性のよい帳票を作成するためには、どのような形式のデータを帳票で扱うかを十分に検討し、設計に織り込む必要があります。
設計した帳票を実際に出力し、改善する
帳票設計ができたら、社内に配布する前にテストとして使用してみましょう。
正しい位置に、適切な情報が入力できるか、入力欄は小さすぎないか、計算式が埋め込まれている場合は数式が間違っていないか、入力しやすい配置になっているかといった項目を確認して微調整するのが重要です。
帳票はリリース(社内で使用できるように配布すること)したら終わりではありません。しばらく使ってみて、作業者や承認者に聞き取りを行い、使い勝手が悪い個所や間違いやすい箇所などがないかを再確認し、継続的に改善していきます。
とはいえ頻繁に変更すると製造現場が混乱するので、急ぎ修正が必要な箇所を除いて3~6ヵ月を目安に改訂要否を検討しましょう。
帳票設計する上で重要な見やすいレイアウトのコツ
帳票設計をするうえで、帳票の見やすさに大きく影響するのがレイアウトです。この見出しでは、帳票設計をする上で踏まえておきたいレイアウトのポイントについて紹介していきます。
フォント・文字サイズを統一する
読みやすさを左右する基本的な要素として、フォントと文字サイズの統一があります。異なるフォントやバラバラな文字サイズが混在すると、視線が散らばり、どこが重要な情報なのか瞬時に判断しづらくなるので注意が必要です。
フォントについては馴染みがあるゴシック体を採用し、文字サイズについては、見出しや注釈などで適切にサイズを使い分けてストレスなく読めるような工夫を講じましょう。
情報を整理してグルーピングする
帳票に記載してある情報に関連性がなく、適切にグルーピングが行われていないと、利用する上で記入がしにくくなるので、ストレスにも繋がります。
利用者の負担を削減して直感的な利用のためにも、できるだけ帳票に記載する除法は整理した上で関連性の高い要素同士をグルーピングしてみましょう。異なる要素の間に余白や罫線で区切ったり、人間の視線の流れ(左上→中央→右下)を意識して要素を配置したりなどに考慮することで、見やすいレイアウトを作成することができます。
配色に注意して視認性を高める
帳票の配色に工夫することで視認性の向上につながります。例えば、ベースカラーとなる背景色・文字色を決めて、読みにくくないかを確認しましょう。
帳票は現場で頻繁に利用される書類なので、実際に利用する従業員の負担にならない使いやすさにこだわるのがポイントです。
帳票設計に紙/Excelの活用は適していない
『製造現場が抱える帳票の課題』の見出しでも触れたとおり、帳票の設計には紙やExcelが利用されている傾向があります。しかし、紙/Excelを活用した帳票設計には、様々な課題があるため最適な手段とは言えません。
現場改善ラボ会員の方を対象に向けに実施した「現場帳票のデジタル化に関する実態調査」(回答数:85名)では、記録・管理・分析・承認などの帳票管理における各フローに課題があることがわかりました。

「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」より抜粋
- データの抽出/分析がしにくい:59%
- 特定の帳票を探すのが手間:48%
- 記録ミスが多い:38%
- 異常値管理をリアルタイムで行うことができない:36%
- 帳票の中から異常を探すのが手間:33%
- 記録方法や内容が統一されていない:27%
- 承認基準にばらつきがある:5%
このように様々な課題があるため、紙/Excelを活用した現場帳票の作成は適切ではないと言えるでしょう。それでは、どのような手段で帳票設計を進めればよいのか。次の章では、紙/Excel以外の方法で帳票を作成している企業事例を紹介していきます。
効率的に帳票設計~作成が行えている企業事例
帳票の設計から作成まで効率的に行えている企業事例として、株式会社日本電気化学工業所の事例を紹介します。
同社は、アルマイト加工を中心に建材や車両などの表面処理を手がけ、建材・自動車・航空機・電子機器など幅広い業界のニーズに応じた表面処理を提供しています。
同社では、紙ベースの帳票によって収集したデータを活用し、改善活動につなげられない・個々の帳票を確認して押印する作業に多大な時間を費やすなどの課題を抱えていました。また、これまで作成した帳票データの参照/分析する際に膨大な数の紙帳票から情報を見つける必要があり、相当な労力が発生していたと語ります。
これらの紙ベースの帳票による課題を解決すべく同社が取り組んだのは、現場帳票作成ツール「tebiki現場分析」を活用した帳票の電子化です。電子化した帳票は、「点検表」「温度記録」「計測機器日常点検記録」の3つです。帳票の設計/作成/集計/分析までをtebiki現場分析によって電子化することで、現場での入力作業もタブレット端末で完結でき、入力ミスの減少・帳票作成の作業時間短縮などの様々な効果を実感しています。
また、電子化によってデータのリアルタイム監視が可能になり、わずかな温度変化の早期検知も実現。設備の不具合を早期に発見でき、大規模な故障や生産ラインの停止といった深刻な事故を未然に防ぐことができています。
同社の事例についてより詳しく知りたい方は、以下のインタビュー記事もあわせてご覧ください。
>>株式会社日本電気化学工業所のインタビュー記事を読んでみる
帳票設計には帳票をデジタル化できるツールの活用がおすすめ
前章の『効率的に帳票設計〜作成が行えている企業事例』でも紹介したように、帳票の設計には、紙/Excelではなく、デジタル化ができるツールの活用がおすすめです。帳票をデジタル化する主なメリットは以下のようなものがあげられます。
- あらかじめテンプレートが用意されているため、スムーズに帳票設計ができる
- 記入ミスの修正鵜や帳票を保管する場所の確保などが不要
- 過去の記録もデジタル検索で簡単に参照できる
- 記録された情報を即時にデータ化し、リアルタイムで確認・分析できる
上記のような様々なメリットがあるものの、「デジタル化に向けて何をすべき?」「どのようにデジタル化を進めればいいの?」など、疑問を抱えている方も多いかと思います。そんな方にむけて、「はじめての現場帳票デジタル化ガイドブック」をご用意しています。
ガイドブック内では、現場帳票のデジタル化を進める手順やポイント、デジタル化に失敗してしまうパターンなども盛り込んでいますのでぜひ参考にしてみてください。以下の画像をクリックするとガイドブックをダウンロード頂けます。
フォーマットに沿って記入するだけで帳票設計~作成ができる「tebiki現場分析」
現場帳票の設計から作成までをデジタル化してかんたんに作成したいと考えている人におすすめなのが、あらかじめ用意されているフォーマットに沿って項目を記入するだけで帳票設計・作成ができる「tebiki現場分析」です。
レイアウトを考慮する必要がなく、Excelで必要な複雑な計算式やマクロなどを活用する必要がないため、誰でも帳票を設計・作成することができます。また、モバイル端末での記入を前提に最適化されたフォーマットなので、誤入力やスクロールの手間を排除し、実際に製造現場で作業する従業員への負担を軽減できるでしょう。
tebiki現場分析について、より詳細な機能や特徴、導入後の充実したサポート内容などをまとめた資料も用意していますので、以下の資料もあわせてご覧ください。下の画像をクリックすると資料をご覧頂けます。
まとめ
帳票を設計するうえでは、これまで紙やExcelを活用している現場も多いものの、現場への負担やデータ分析・異常検知などを踏まえると、帳票のデジタル化は欠かせません。製造現場の実態に即して設計されていない紙やExcelの帳票の場合、現場で活用されなかったり、記入する上でストレスがかかってしまったりなどのリスクが考えられるためです。
帳票のデジタル化を進めるうえでは、管理者・現場従業員のそれぞれの負担軽減につながる「tebiki現場分析」がおすすめ。機能や特徴、導入後のサービス内容などを詳しく知りたい方は、以下の画像をクリックして資料をご覧ください。