自動車内装部品の製造工程における外国人教育に
動画マニュアルを活用し、工程内不良を1/3まで削減

明和工業株式会社
- 業種 :製造
- 従業員数 :101-500名
お話を伺った方:
製造部 部長 林 孝宏 様
製造部 生産2課 加飾係 3G 中村 晃輝 様
服部 由佳梨 様
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課題
- 言語の壁によって外国人作業者に標準作業が伝わらず不良が発生していた
- 紙の標準作業書では正しい作業が伝わらず、作業者によってバラつきがあった
- 多品種の混流生産のため、全ての標準作業を覚えることが難しい
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効果
- 自動翻訳機能の活用で、外国人作業者が標準作業が伝わるようになった
- いつでも動画マニュアルを閲覧できる環境を整備し、キズ不良率を4.5%→1.5%に改善
- 職制の意識が変わり、より細部まで拘った標準作業をマニュアル化できるようになった
外観品質が重要な内装部品の製造工程でtebikiを活用しています
貴社の事業内容と、tebikiの対象業務について教えてください
林様: 明和工業株式会社は主に自動車内装部品の開発提案から設計、製造までを一貫して行っている会社です。弊社の主力製品は、自動車の車内で飲み物などを置くカップホルダや灰皿、小物入れや、樹脂製品に金属膜をスパッタリング加工した加飾部品です。 工場では、部品の治具への取り付けや取り外しに関する作業手順を教えるために、tebikiの動画マニュアルを利用しています。

自動車部品製造の現場ならではの品質に関わる課題があれば教えてください
林様: 弊社の製品は自動車の内装部品ですので、自動車のユーザー様が車内で直接目にし、触れる製品です。そのため、製品の品質が悪いと弊社の得意先である自動車メーカーからの信用もさることながら、自動車のユーザー様からの信用問題にもなりかねません。そのため、製品の外観品質を非常に重要視しています。製造工程の全てが自動化できれば理想的なのですが、現状は製品の取り回しや検査など、人に頼る部分が多くあります。
品質面においてどのような項目をKPIとして設定しているのでしょうか
林様: 品質項目としては、納品先への不良流出件数と工程内不良の不良率、ロス金額です。
グループ会社でのtebiki導入による品質改善の取り組みを知って導入検討を開始しました
tebikiの導入を検討したきっかけについて教えてください
中村様: 新工場が立ち上がり、外国人の派遣社員が多く入社してきました。その外国人作業者に対して教育を実施していく中で、言葉の壁の問題に直面しました。外国人作業者に作業手順が正確に伝わらず、標準作業が守られないために作業者によってバラつきが発生しており、結果的に不良品が多く発生していました。
そんな中で、グループ会社の上松電子株式会社で、tebikiの動画マニュアルを導入して外国人向けの作業教育に取り組んでいることを耳にしました。実際に工場を見学して色々と教えてもらった結果、弊社でも有効だろうと判断してtebikiの導入を検討することになりました。
tebikiの導入によって解決したい課題はどのようなものでしたか?
中村様: 解決したかった課題は工程内不良です。検査で不良と判断された製品は手直しがきかず、廃棄するしかありません。不良品の量が増えればコストも増加し、会社の利益にもつながりません。そこでtebikiの動画マニュアルを活用することで、標準作業の遵守を徹底し、工程内不良を削減したいと考えていました。
工程内不良の内訳の中でも、一番多い不良要因となっていたのがキズ不良です。私が所属する加飾係で取り扱うスパッタリング部品はとても繊細で、治具への取り付けや取り外し作業の際に十分に注意を払っていても、作業者が気付かないところでキズが発生することがあります。製品も100種類以上あって、何種類もの製品を同時に流す混流生産をしているため、標準作業を何度教えても、同じ作業を全員ができていない状態でした。
その課題に対して、どのような取り組みを実施しましたか
中村様: tebikiを導入する前は紙に印刷した標準作業書で作業教育を実施していましたが、作業の仕方がうまく伝わっておらず、製品の正しい持ち方などの細かい部分で作業者ごとに違いがありました。tebikiの導入後は、正しい作業手順や製品の持ち方、注意点などを細かく指示した動画マニュアルを作成し、実際に現場でのレクチャーも交えながら作業教育を行いました。
しかし、レクチャーを実施した直後は改善するのですが、その作業を次に実施する際にはもう忘れてしまっていたりして、また誤った手順や製品の持ち方で作業を行ってしまうという問題が生じました。いつでも標準作業が確認できるようにできないかと考えた結果、工程にモニターを設置することにしました。製品かんばんに表示したQRコードをリーダーで読み取ると、該当する製品の品番に紐づいた動画マニュアルが自動的に表示されるようにしています。また、作業開始時に作業者認識のQRコードも読み取ることで、動画マニュアルの字幕が常にその作業者の母国語で表示されるような工夫もしています。
これらの取り組みによって、標準作業に関する動画マニュアルをいつでも母国語表示で確認できる環境が整備でき、多品種生産の現場でも成果につなげることができています。

その取り組みによる具体的な成果について教えてください
中村様: いつでも必要な時に動画マニュアルを確認できる環境を整備したことによって、作業者ごとの作業のバラつきが無くなり、標準作業の遵守といった点で大幅に効果がでました。具体的には、工程内不良におけるキズ不良率が、tebikiの導入前には4.5%だったのが、導入後には1.5%まで大幅に低減することができました。
作業者が標準作業を守るようになっただけでなく、職制の意識が変わり外国人とのコミュニケーションも活発になりました
tebikiを現場に浸透、定着させるうえでどんな課題がありましたか
服部様: 社内でtebikiの存在を知った人たちからは、「tebikiとはどんなものか?」「tebikiを使うと何ができるのか?」といった初歩的な質問が多くありました。また、試験的にtebikiを使用した社員からは「動画編集時に自由に図形を挿入できないのか?」や「作成した動画の整理はどうすればいいですか?」など、かなり具体的な質問も多数寄せられました。 これらの質問に対して全て回答し、「tebikiは何のためのツールなのか」といったところから丁寧に説明をすることで、社内からの理解が得られて、浸透していったと思います。
基本的な操作に慣れて動画を作りこんでいくようになると、より踏み込んだ内容の質問が増えてきて、それには都度回答ができないこともあり、少し困ったこともありました。
カスタマーサクセス担当のサポートは役に立ちましたか?
服部様: Tebiki社のカスタマーサクセス担当の方とは、電話やメールなどで常にやり取りができたので、分からないことがあってもすぐに解決することができ、プロジェクトを滞りなく進めることができました。また、中村が申し上げた「製品かんばんのQRコードと動画マニュアルを連携させて、モニターで動画をループ再生する」という取組みは、カスタマーサクセス担当の方だけでなく、tebikiの開発チームとも連携を取って実現することができました。
弊社内でもIT部門の担当と連携を取り、現場で動画がイメージ通りに再生できるようになるまで試行錯誤しましたが、中村さんともう一人の班長の努力もあり、無事に現場で運用できるところまで漕ぎつけたと思います。
tebiki導入によって最も変わったことやその効果について教えてください
林様: 直接的な効果としては、作業者、特に外国人の作業者が標準作業を守るようになり工程内不良が減ったことですが、それ以上に嬉しい変化としては、リーダーの意識が変わったことです。
tebikiで動画マニュアルを作るということは、紙の標準作業書では表現できないところまで見せることになるので、より細部まで拘ったマニュアルを作るようになりました。また、外国人作業者とのコミュニケーションも以前より活発になり、一体になって不良低減活動を推進し成果を上げてくれました。動画マニュアルそのものの効果以上に、tebikiの導入が職制による教育の補助として機能したことが良い結果につながったと感じています。
中村様: 現場では様々な国籍の方が一緒に働いており、母国語もそれぞれ異なりますが、tebikiの自動翻訳機能による多言語対応の動画マニュアルがあることで、全員がしっかり標準作業を理解して統一した作業ができると実感できました。

導入の成果を実感できたため、tebikiを他工場にも展開へ
今後の品質改善に向けてどのような展望をお持ちですか
中村様: 私が担当している工場がtebikiの活用を率先して行っており、良い成果も得られています。この経験を活かして今後は他の工場や部署にもtebikiの活用を横展開させて、会社全体で不良低減に取り組んでいきたいです。
林様:
多忙な中でも、中村さんがもう一人の班長と全ての製品の標準を短期間で作りあげたことには驚きました。tebikiというデジタルツールを上手く活用して大きな成果を上げてくれて本当に感謝しています。彼らの高い意識とパワーを感じることができたので、今後の期待も大きいです。
他部門でもtebikiの活用が始まっているので、製造部門からtebikiの良さを発信し全社的に広がると良いですね。現在の使い方以外にも、様々な使い方ができるのではと感じています。
今後のTebiki社やサービスに期待することがあれば教えてください
林様: 導入当初は新工場の稼働開始のタイミングでもあったため現場も多忙を極めており、動画マニュアルを現場で運用していく活動が停滞してしまうことを心配していました。しかし、Tebiki社のカスタマーサクセス担当にはオンライン会議でフォローしていただき、プロジェクトを推進している職制の気持ちを乗せてもらったことでプロジェクトが停滞せずに推進できたと思います。カスタマーサクセス担当の方が気さくな人柄の方で、こちらの困り事についても本音で相談できました。推進メンバーは、いまも続いている定例ミーティングをいつも楽しみにしています。
また、定例ミーティングで相談した機能要望についても素早く反応していただけて、どんどん機能がアップデートしていくところは非常に頼もしいと感じています。
