現場改善ラボ 記事一覧 お役立ち情報 倉庫作業の効率化!15の改善アイデアと成功事例を紹介

倉庫業務に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。

倉庫作業の効率化を図りたくても、どこから手をつけたら良いかわからず、問題が先送りされている倉庫現場は少なくありません。とはいえ人手不足や物量の増加、コスト削減への要求など、倉庫現場を取り巻く環境は厳しさを増しており、倉庫作業の効率化は重要な取り組みとなっています。

そこで本記事では、倉庫現場のリーダーや改善担当者の方が、倉庫作業を効率化できる実践アイデアを多数紹介します。より生産性の高い倉庫現場を実現するための一歩を踏み出しましょう。

倉庫作業が非効率な現場にありがちな課題

整理整頓が行き届いていない、あるいは仕組み化されていない倉庫では、様々な問題が発生し、日々の業務効率を大きく妨げます。

ここでは、非効率な倉庫現場でよく見られる「あるある」な課題を具体的に見ていきましょう。

どこにある?探し物に時間を取られすぎている

必要な工具や部品、商品、伝票などがすぐに見つからず、「あれ、どこだっけ?」と探すことに多くの時間を費やしている状態です。作業を中断して探し回るため、本来の業務がなかなか進みません。特に新人や経験の浅い作業者は、探し物だけで疲弊してしまうこともあります。

こうした状況に陥る根本的な原因は、モノの置き場所が明確に決められていない、あるいは決められていても守られていない「整理・整頓(2S)不足」にあります。どこに何があるかを示す表示がなく分かりにくかったり、一時的な仮置きが常態化していたりすることも、探し物を増やす要因となります。

2Sとは「整理」「整頓」の2つを指し、5S活動の基本であり重要な概念で、整理・整頓を通して職場内の物の流れや配置を改善し、作業効率を高める基盤となるのです。2Sの概念については以下の記事で理解を深められるので、あわせて参考にしてみてください。

あの人しか分からない…作業の属人化が進んでいる

特定の熟練作業員しか担当できない業務や、「あの人に聞かないと分からない」というノウハウが多数存在する倉庫現場は、効率化が停滞する傾向にあります。新人がなかなか一人前に育たず、特定のベテラン社員に業務負荷が集中してしまっている状況です。

作業の属人化が進んでしまう根本的な原因は、作業の手順や判断基準が個人の経験や勘に頼っており、マニュアル化・標準化されていないことにあります。熟練者の持つ暗黙知(言葉で説明しにくいカン・コツ)が、他の人も理解できる形式知(マニュアルや手順書など)に変換・共有されていないため、技術やノウハウが継承されません。加えて、OJT(On-the-Job Training)が指導者任せになっており、体系的な教育が行われていないことも属人化を助長します。

例えば「サッポログループ物流株式会社」では、業務がブラックボックス化(属人化)し、特定の従業員に生産性が依存した体制に課題を感じていました。

紙のマニュアルや手順書といった文字情報では効率的な技術伝承を行うことはできず、業務の属人化が起こってしまいがちでした。

また、文字では業務内容が伝わりにくいので、紙マニュアルや紙の手順書を作成、更新する意識が薄れてしまい、その場の口伝や属人的なOJTに頼ってしまい、業務のブラックボックス化(属人化)や業務品質のバラつきが生まれてしまっていました。

同社は現在、属人化を解消し、作業の効率化を実現していますが、詳しい成功事例は以下のインタビュー記事でご覧いただけます。

不要な移動(歩行)による3M(ムリムダムラ)

ピッキングのために倉庫の端から端まで何度も往復したり、関連する作業をするのにエリア間を大きく移動したり…いわゆる「歩きすぎ」の状態になっていませんか? 一日の歩行距離が長すぎると、作業者は必要以上に体力を消耗し、疲労が蓄積します。これは、改善活動でよく言われる3M(ムリ・ムダ・ムラ)の観点から見ても大きな問題です。

まず、価値を生まない移動そのものが「ムダ」です。具体的には、「運搬のムダ」や「動作のムダ」に該当します。移動時間が長ければ長いほど、本来行うべき作業(ピッキング、検品など)に充てる時間が削られ、生産性が低下します。

さらに、長すぎる移動距離は、作業者に過度な身体的負担を強いる「ムリ」な作業と言えます。疲労は集中力の低下を招き、最悪の場合、転倒などの労働災害を引き起こすリスクを高めます。もしくは、不適切な歩行動線により、作業者によって移動距離が大きく異なる「ムラ」が生じている可能性もあります。

また間違えた!ピッキングミスや誤出荷が減らない

品番違い、数量間違いといったピッキングミスや、在庫数のカウントミス、商品の破損、さらには届け先や商品を間違える誤出荷は、非効率を招く原因です。主にヒューマンエラー(人為的ミス)によって生じるミスは、なるべく仕組み化して減らしていかなければなりません。

ヒューマンエラーの根本要因は、作業手順が標準化されておらず、作業者によってやり方がバラバラであることが大きいです。分かりやすい作業マニュアルが存在しない、あるいは作成されていても活用されていないことや、新人への教育が不十分であることも影響します。

手順書通りに作業がなされる体制や仕組みづくりは、工夫によって十分に実現可能です。その方法がまとめられた資料「“手順書通りにできない”から卒業 作業ルールを守らせる効果的な方法(pdf)」も参考にすると、倉庫作業の効率化を実現するヒントが得られるはずです。あわせてご覧ください。


“手順書通りにできない”から卒業 作業ルールを守らせる効果的な方法 (3)

置く場所がない!倉庫スペースが足りていない(のに無駄が多い)

「倉庫が狭くて、もう置く場所がない」と感じているにも関わらず、よく見ると通路にモノがはみ出していたり、棚の上に無駄な空きスペース(デッドスペース)が多かったりするケースは少なくありません。また、長期間動いていない不要な在庫や資材が棚の一等地を占拠しているなど、限られた倉庫スペースが有効活用されていない状態が見受けられます。

このようなスペース問題の原因としては、保管物や作業内容に対して、倉庫全体のレイアウトや棚の設計(高さ、奥行きなど)が最適化されていないことが考えられます。また、在庫管理が適切に行われておらず、必要以上の在庫を抱えている(過剰在庫)可能性も否定できません。

根本的には、5S活動、特に「整理(不要なモノを捨てる)」が徹底されていないことが、スペースを圧迫する大きな要因となっているケースが多いです。

明日からできる!倉庫作業を効率化する12のアイデア

ここからは、倉庫現場で比較的取り組みやすい、具体的な倉庫作業の効率化アイデアを12個ご紹介します。自社の状況に合わせて、できることから始めてみましょう。

作業の標準化とマニュアル化

作業手順やルールが人によって異なると、品質のばらつきやヒューマンエラー、属人化を招き、効率化の妨げとなります。

まずは現状の作業を洗い出し、ムリ・ムダ・ムラ(3M)がないか分析します。その上で、最も効率的で安全な作業手順を「標準作業」として定め、誰が見ても理解できるようマニュアルに落とし込みます。

ただし、従来の紙マニュアルには、「作成・更新に手間がかかる」「読まれない」「細かいニュアンスが伝わりにくい」といった課題も多く聞かれます。例えば物流企業の「ASKUL LOGIST株式会社」では、紙マニュアルによる教育の限界を痛感し、動画マニュアルによって標準化を実現しました。

紙から動画マニュアルに刷新した同社の改善事例について、実際にインタビューした動画を以下に掲載します。改善活動の参考にしてみてください。

▼物流業務の改善事例インタビュー動画▼

物流業における動画マニュアルの活用イメージや導入事例については、「物流業界の生産性向上を助ける動画マニュアルのチカラ(pdf)」で詳しく紹介されています。以下のリンクをクリックするとダウンロードできるので、動画マニュアルを少しでも検討している方は参考にしてみてください。

>>>物流業界の生産性向上を助ける動画マニュアルのチカラ(pdf)を見てみる

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底

5Sは、全ての改善 活動の基本であり、倉庫作業 効率化の土台となります。「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の頭文字を取ったもので、安全で効率的な職場環境を作るための考え方です。

  • 整理: 要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てる。
  • 整頓: 要るものを使いやすいように置き場所を決め、表示する(定位置管理)。
  • 清掃: 職場や設備をきれいに掃除し、点検する。
  • 清潔: 整理・整頓・清掃の状態を維持する。
  • 躾: 決められたルールや手順を正しく守る習慣をつける。

5Sを徹底することで、「探すムダ」が削減され、作業スペースが確保され、安全性が向上します。担当者を決めたり、定期的なパトロールを実施したりするなど、5S 活動を継続・定着させる仕組みづくりが重要です。

5S活動の具体的な理解や実践方法は、無料セミナー動画「生産性を高める5S活動 正しい運用に欠かせない「重要なS」とは」で詳しく解説されています。5Sを自社の現場にどう応用するのか、イメージが湧くようになっているので、お時間がある際に視聴してみてください。

レイアウト・作業動線の見直しと最適化

モノの流れ(入荷~保管~ピッキング~梱包~検品~出荷)を意識し、作業 動線が最短・スムーズになるようにレイアウトを見直します。

まずは、現状の作業者の動きやモノの流れを図に描いて「見える化」し、どこに無駄な動き(長い移動、交差、渋滞、逆流など)が発生しているかを分析します。その上で、関連する作業エリアを集約したり、ロケーションを見直したり、通路を一方通行にしたりするなどの改善策を検討・実施します。

ABC分析(出荷頻度や重要度に応じて商品をランク分けする手法)を活用し、出荷頻度の高いAランク品を出荷口に近い場所へ保管するなど、保管場所を最適化することも有効です。頻繁なレイアウト変更は難しい場合でも、まずは現状分析から始めてみましょう。

ロケーション管理の最適化

どこに何が保管されているかを明確にするロケーション管理は、「探すムダ」をなくすために不可欠です。

  • 固定ロケーション: 商品ごとに保管場所を固定する方法。場所を覚えやすい反面、スペース効率が悪くなることがあります。
  • フリーロケーション: 空いている場所に商品を保管する方法。スペース効率は高いですが、システム等で場所を正確に管理する必要があります。

商品の種類や出荷頻度に応じて、これらの方式を使い分けるのが効果的です。棚や区画には、誰にでも分かりやすいようにロケーション番号を表示し、ルールを徹底しましょう。棚卸し時などに定期的にロケーションを見直し、デッドスペースがないか確認することも重要です。倉庫管理システム(WMS)を導入すれば、より効率的で正確なロケーション管理が可能になります。

ピッキング作業の効率化

ピッキングは倉庫作業の中でも特に時間と労力がかかる工程であり、効率化の効果が大きいポイントです。

現在取り入れているピッキング手法が現場に合っているか、見直しましょう。

  • シングルピッキング(摘み取り方式): 1オーダーごとに商品を集める方法。オーダー数が少ない場合に有効。
  • トータルピッキング(種まき方式): 複数オーダーの商品をまとめて集め、後で仕分ける方法。オーダー数が多い場合に有効。

等、いくつかの手法が存在するので、効率化する手法の見極めが重要です。

また、特に重要なのが、「現場で定められた正しいピッキング作業手順が、現場全体に浸透しているか」の確認です。作業手順のバラつきはピッキングミスが生じるので、標準化を意識した教育体制を整備しましょう。

例えば物流企業の「ソニテック株式会社」も、多発するピッキングミスに課題を感じていました。

荷主や便によってピッキング作業が異なるため、その内容を教え、覚えることは大きな負担です。多様なピッキング方法を正確に理解し、迅速に作業できるようにするには、教育と実践的な経験が不可欠です。マンツーマン指導を行っているものの、作業内容の正確な伝達が難しく、ミスが発生することもしばしばあります。

そこで同社は、物流業に特化した動画マニュアル「tebiki現場教育」によって作業標準化を実現しましたが、動画マニュアルの活用イメージや導入事例については、「3分で分かる『tebikiサービス資料』(pdf)」で詳しく紹介されています。以下の画像をクリックするとダウンロードできるので、動画マニュアルを少しでも検討している方は参考にしてみてください。


物流業に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場きゅ

在庫管理の適正化

在庫は多すぎても少なすぎても問題です。適正在庫を維持することは、保管スペースの効率化、キャッシュフロー改善、欠品による販売機会損失防止に繋がります。

ABC分析の活用在庫を出荷金額や出荷量などでランク分けし、ランクごとに管理方法(発注頻度、在庫数、棚卸し頻度など)を変えることで、効率的な在庫管理を実現します。
需要予測過去の出荷データや販売計画に基づき、需要予測の精度を高めることで、適切な発注が可能になります。
定期的な棚卸し実在庫数とデータ上の在庫数の差異を確認し、原因を究明して対策を講じます。全商品を一斉に行う実地棚卸しだけでなく、商品を区分して順次行うサイクルカウントも有効です。
WMSの活用倉庫管理システム(WMS)を導入すれば、リアルタイムで正確な在庫数を把握でき、管理業務を大幅に効率化できます。
先入れ先出し(FIFO)の徹底古い商品から先に出荷するルールを徹底し、品質劣化や期限切れによる廃棄ロスを防ぎます。

検品作業の精度向上と効率化

出荷前の検品は、作業ミスを防ぎ、物流品質を担保するための最後の砦です。精度を維持しつつ、効率的に行う方法を考えましょう。

例えばダブルチェック体制の見直しです。単純な二重チェックは形骸化しやすい側面もあります。チェック項目を明確にする、チェック者を変えるなどの工夫が必要です。

また、ツールの活用も検討の余地があるでしょう。ハンディターミナルやバーコードスキャナを活用すれば、目視よりも早く正確に検品できます。重量検品(ウェイトチェッカー)は、数量間違いの発見に有効です。

※出荷作業全体の改善ポイントについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

従業員教育と多能工化の推進

効率化のためのルールやシステムを導入しても、それを実行する「人」への教育が伴わなければ効果は限定的です。作業の標準化を徹底し、改善意識を高めるためには、継続的な従業員教育が不可欠です。

標準化された作業手順の習得はもちろん、5Sや安全に関する教育、改善提案を促す教育などが考えられます。また、一人の作業員が複数の業務や工程を担当できるようにする「多能工化」を進めることで、人員配置の柔軟性が高まり、欠員や繁閑差に強い現場を作ることができます。

多能工化を効率的に進める方法についてより詳しく知りたい方は、以下の画像をクリックして、「企業が多能工化を進めるべき理由と実践方法(pdf)」をご覧ください。


多能工化推進の壁を解消する切り口と解決策をみる

梱包作業の効率化

梱包作業も、やり方次第で時間やコストに大きな差が出ます。

手順の標準化誰がやっても同じ品質・時間で梱包できるよう、手順を明確にし、必要であればマニュアル化します。
資材の見直し商品サイズに合った段ボールを使用する、緩衝材の種類や量を最適化するなど、資材コストと作業時間の両面から見直します。環境に配慮した資材を選ぶことも重要です。
作業環境の整備梱包に必要な資材や道具を作業台周りにまとめて配置する(定位置管理)、作業しやすい高さに調整するなど、作業環境を改善します。
ツールの活用テープカッターや自動封函機、自動梱包機などの設備導入も、物量によっては有効な効率化手段です。

手順の標準化について、例えば「三井物産グローバルロジスティクス株式会社」では、包装作業の正しいやり方を映像におさめ、作業手順書を動画化しています。同社の動画マニュアルのサンプルを、以下に掲載します。

▼梱包作業を動画化したマニュアルの例▼

「tebiki」で作成

「一目見ればある程度の業務プロセスが理解できる」マニュアル整備は標準化に不可欠であり、倉庫作業の効率化は標準化が命と言っても過言ではありません。

標準作業がなされる教育体制の具体的な仕組み作りについては、「“手順書通りにできない”から卒業 作業ルールを守らせる効果的な方法(pdf)」で解説されているので、参考にしてみてください。

安全対策の徹底によるリスク低減

倉庫内での事故や労災は、作業の停止、人材の損失、損害賠償など、無視できない要素です。安全対策の徹底は、効率化と表裏一体の重要な取り組みだと言えます。

労災をなくすには、ヒヤリハット報告などを活用して危険箇所を洗い出し、対策を講じましょう。安全通路の確保、フォークリフトの安全ルール遵守、保護具着用の徹底、危険物管理などを確実に実施しましょう。また、定期的な安全教育を通じて、従業員一人ひとりの安全意識を高めることが重要です。

特に倉庫内で使用頻度の高いフォークリフトは、労災や事故報告が非常に多いです。フォークリフトの具体的なヒヤリハット事例や安全対策については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

▼関連記事▼
フォークリフトのヒヤリハット事例集と対策まとめ!危険予知の事例もあわせて解説
フォークリフトの安全対策8例!事故を防止した改善事例や安全意識を高める方法も解説

または、物流企業「株式会社近鉄コスモス」のように、フォークリフトの禁止事項を映像で視覚的に教育する手法も効果的です。同社では以下のような動画マニュアルが展開されています。

▼安全教育を映像で実施する例▼

「tebiki」で作成

物流業における安全教育の実施方法や、他社の取り組み事例を知りたい方は、以下の資料が参考になります。動画を活用した安全対策についても解説しているので、ご覧ください。

定期的なミーティングと改善提案の促進

現場の課題や改善のヒントは、日々作業している従業員が最もよく知っています。定期的なミーティングの場を設け、作業上の問題点や効率化のアイデアを共有・議論する機会を作りましょう。

朝礼での短時間の情報共有や、週に一度の改善ミーティングなどが考えられます。従業員からの改善提案を奨励する制度を設けたり、優れた改善を行ったチームや個人を表彰したりすることも、モチベーション向上に繋がります。トップダウンの指示だけでなく、現場からのボトムアップの改善活動を活発にすることが、継続的な効率化の鍵です。

定期的な効果測定と改善活動の継続

効率化の施策を実行したら、その効果を定期的に測定し、評価することが重要です。「やりっぱなし」にせず、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回し続けることで、改善活動を継続・発展させることができます。

効率化の指標としては、作業時間、ミス発生率、在庫回転率、保管効率(スペース使用率)、時間あたりピッキング件数、従業員満足度などが考えられます。目標値を設定し、定期的に実績データを収集・分析し、次の改善アクションに繋げましょう。データに基づいた客観的な評価は、改善の方向性を定める上で役立ちます。

倉庫作業の効率化に役立つツール・システム導入

実践編で紹介したアイデアに加えて、より大きな効率化効果を目指すための応用的な手法をご紹介します。導入にはコストや準備が必要になりますが、課題によっては劇的な改善が期待できます。

動画マニュアルの導入・活用

倉庫作業の効率化は、従業員の教育品質によって左右されると言っても過言ではありません。とはいえ、倉庫現場における教育はかなり難易度が高く、特に従来の紙マニュアルで教育を運用している現場はうまくいっていない傾向があります。そこで注目されているのが、作業手順を映像で記録・共有する動画マニュアルです。

動画マニュアルは、以下のような点で倉庫作業の効率化に大きく貢献します。

動画マニュアル作成ツールならなんでもいいわけではなく、「現場従業員でもかんたんに撮影・編集ができるツール(例:tebiki)」であることが前提です。

標準作業の徹底

実際の作業映像を見ることで、手順や注意点、カン・コツといったニュアンスが直感的に理解でき、誰でも標準化された作業を早く正確に習得できます。

動画マニュアル(tebiki現場教育)を導入した物流企業の「ASKUL LOGIST株式会社」は、下記のように、動画マニュアルによる標準化効果を実感しています。

実際に動画マニュアルで教育を行ってみると、従来の教育だけでは受け手側の解釈で理解がバラついてしまう中でも、うまく作業の標準化を進められることが効果として大きいです。文字ベースの紙マニュアルだけで見てもらうよりも絵や写真などビジュアルも使うことで分かりやすいですし、それが動画になるとより分かりやすくなりますよね。元々ある教育体制の中で、不足している部分を動画で補うという考え方で導入を進めていきました。

教育時間の短縮・効率化

OJTの補完や集合研修の代替として活用でき、教育担当者の負担を軽減し、新人の早期戦力化を実現します。スマートフォンやタブレットでいつでもどこでも視聴できるため、学習がスピーディに行えます。

物流企業の「ソニテック株式会社」は、動画マニュアルの導入によって、3ヶ月かかっていた新入社員の教育工数を実質ゼロにしています。

新入社員が入社すると、まず新人研修用のコースを視聴し、その後、作業ごとのコースを視聴します。tebikiの導入により、かつて3か月かかっていた教育時間が実質ゼロになりました。時間と人手の大幅な削減だけでなく、教育内容の一定化により、教える側と教えられる側双方のストレスの緩和にもつながるなど、全体の効率化に大きく寄与していると実感しています。

技術・ノウハウの伝承

言葉や文章では伝えにくい熟練者の細かな動きや判断基準などを映像で記録・共有することで、属人化しがちな技術の伝承を促進します。

技術伝承に課題を感じていた「サッポログループ物流株式会社」は、業務内容や業務ノウハウの可視化が必須であると考え、作業手順そのものの動画化を決断しました。文字や図解のような文書マニュアルでは、どうしても高度な技術を言語化することは難しいです。動画であれば必要最低限の補足で、ベテランの技術をマニュアル化できます。

安全意識の向上

危険な作業や過去のヒヤリハット事例などを映像で見せることで、危険感受性を高め、安全教育の効果を高めます。

例えば物流企業「株式会社近鉄コスモス」は、フォークリフトの禁止事項やNG操作を動画におさめ、動画マニュアルとして展開することで、安全意識の向上に努めています。以下は実際に同社で活用されている動画マニュアルです。

▼安全意識の向上につながる動画マニュアルの例▼

「tebiki」で作成されています

物流現場における動画マニュアルの具体的な活用方法や導入効果について、さらに詳しくまとめた資料をご用意しています。自社の課題解決のヒントとしてご活用ください。

実際にどのような動画マニュアルが業務で使われているのか、具体的なサンプルを見てみたい方は、以下の資料が役立ちます。様々な現場の動画サンプルがまとめられており、自社での活用イメージを膨らませるのに最適です。

倉庫管理システム(WMS)の導入・活用

WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内のモノと情報を一元管理し、業務全体の効率化と精度向上を実現するシステムです。

  • 主な機能: 在庫管理、ロケーション管理、入荷・出荷管理、棚卸し支援、帳票発行、作業進捗管理など。
  • 導入メリット: リアルタイムでの正確な在庫状況の把握、ロケーション最適化によるピッキング効率向上、作業ミスの削減、ペーパーレス化の推進、蓄積されたデータの分析によるさらなる改善などが期待できます。
  • 選定のポイント: 自社の倉庫規模、扱う商品の特性、業務フローに合った機能を持つシステムを選ぶことが重要です。クラウド型かオンプレミス型か、導入後のサポート体制なども比較検討しましょう。

マテハン機器・自動化設備の導入

マテハン(マテリアルハンドリング)機器や自動化設備は、人手による作業を機械に置き換えることで、省人化、作業負荷軽減、処理能力向上、作業精度向上などを実現します。

マテハンの主な種類は以下のとおりです。

搬送系コンベヤ、ソーター(自動仕分け機)、無人搬送車(AGV/AMR)など
保管系自動倉庫、移動ラック、回転棚など
ピッキング系デジタルピッキングシステム(DPS)、ゲートアソートシステム(GAS)、ピッキングロボットなど

こうしたマテハンの導入を検討する際には、相応のコストがかかるため、費用対効果を十分に検証することが重要です。また、設備を設置するスペースの確保、既存システムとの連携、導入後のメンテナンス体制なども考慮に入れる必要があります。

なお、全ての工程を一度に自動化するのではなく、最もボトルネックとなっている工程や、作業負荷の高い工程から部分的に導入を検討するのも有効なアプローチと言えるでしょう。その際にも、導入後の操作教育やメンテナンス教育は不可欠であり、マニュアルの事前整備も必要になります。

まとめ:倉庫作業の効率化は「改善の継続」と「人への投資」が鍵

本記事では、倉庫作業を効率化するための具体的な方法を解説しました。5Sの徹底、レイアウト・動線の見直し、ロケーション管理、ピッキングや梱包、在庫管理、検品といった各工程の改善、そして作業の標準化とマニュアル化、安全対策、改善提案の促進、効果測定の継続といった取り組みは、地道ですが着実に効率化を進める上で欠かせません。

さらに、動画マニュアルやWMS、マテハン・自動化設備といったツール・システムの導入は、より大きな効率化効果をもたらす可能性があります。

しかし、最も重要なのは、これらの施策を一度きりで終わらせず、PDCAサイクルを回し続け、現場の意見を取り入れながら継続的に改善していくことです。

そして、どんなに優れたルールやシステム、設備を導入しても、それを使いこなし、改善を推進していくのは現場の「人」に他なりません。標準化された作業を確実に実行し、スキルアップを図り、安全への意識を高めるための「従業員教育」への投資こそが、持続的な倉庫作業効率化の最も重要な基盤となると言えるでしょう。

倉庫作業の効率化、特に日々の作業の標準化や従業員の教育体制構築に課題を感じている方は、視覚的に分かりやすく、誰でもかんたんに作成・共有できる動画マニュアル「tebiki現場教育」が、その解決策の一つとなるかもしれません。具体的な機能や活用事例をまとめた資料をご用意していますので、ぜひご覧ください。


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