物流倉庫の安全教育・対策に役立つかんたん動画マニュアル「tebiki現場教育」を展開する、現場改善ラボ編集部です。
倉庫や物流の現場には、日常の作業の中にさまざまな危険が潜んでいます。重大な事故の裏には数多くの「ヒヤリハット」が存在し、見逃せばいずれ大きな事故や労働災害につながりかねません。ここで先にお伝えしたい要点があります。多くの現場は安全対策を「やっている」—KY活動もマニュアルもルールもある。それでも事故が起きるのは、対策が「教育した」「掲示した」で止まり、現場に定着する仕組みになっていないからです。事故を未然に防ぐには、小さな問題や違和感を放置せず、「教育」と「設備・ルール」の両面で、しかも“やって終わり”にしない仕組みとして安全対策を講じることが重要です。本記事では、倉庫作業に潜む危険とともに、その未然防止につながる安全対策を、教育面・設備面の両輪で紹介します。
なお、近年では安全教育の手段に「動画マニュアル」を採用する企業が増えています。動画は危険な行為や状況を視覚的に伝えられるため、従業員の安全意識を効果的に高められます。動画を活用した安全教育の事例や効果は、以下の資料でも詳しく解説しています。
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目次
倉庫作業に潜む危険や事故の一覧と事例
「1件の重大事故の裏には29件の軽傷事故と300件の無傷事故がある」という「ハインリッヒの法則」が示すように、事故や災害は日常に潜む小さな危険の積み重ねから生まれます。重大災害の背景には多数の軽微な事故やヒヤリハットが存在するため、小さな危険を見逃さず、早期に対策することが重要です。倉庫・物流の現場でも同様に、些細なミスや不注意、環境の変化が思わぬ事故につながります。ここでは、倉庫作業で起こり得る事故の事例を、8つの類型で紹介します。
転倒・転落
倉庫内外では、雨で濡れた床やトラックヤードで作業を行うときに、足を滑らせて転倒するリスクがあります。また作業環境が十分に整備されていない場合、床にある段差や電源コード、緩衝材などの障害物につまずいて転倒しそうになるケースも少なくありません。さらに荷台に乗って荷物の積み降ろしをする際には、バランスを崩してトラックから転落する恐れもあります。高所での作業では「もしも」を想定した安全対策が不可欠です。
この「もしも」を想定するには、日頃から現場に潜む危険を意識させ、「危険への感受性」を高めることが有効です。そこでKYT(危険予知訓練)を行っている現場も多いのですが、文章や写真での説明ではイマイチ伝わらず、形骸化しやすいとの声もよく耳にします。つまり「KYをやっている」ことと「危険感受性が高まっている」ことは別物なのです。現場の危険をわかりやすく伝え、従業員の危険感受性を本当に高める「次世代型KYT」を、以下の資料で詳しく説明しています。
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挟まれ・巻き込まれ
倉庫内ではフォークリフトの走行中、車両と壁との間に作業員の体が挟まれたり、腕や足が巻き込まれたりする危険性があります。一例として、荷物の積み込みや検品作業員との会話など、他の作業に気を取られたときに安全確認が不十分となり、事故が起きやすくなります。
ここで見落としてはいけないのが、こうした「気のゆるみ=不安全行動」は、慣れや疲労だけが原因ではありません。「気をつけろ」と注意し続けても不安全行動が繰り返されるのには、人間の行動原理に根ざした背景があります。不安全行動が繰り返される背景と、安全ルールを現場に浸透させる対策を、以下の資料で詳しく展開しています。
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落下物
ピッキング作業ではフォークリフトや台車を使って倉庫内を動き回るため、振動や衝突によって高い位置にある棚から商品が落ちてくるリスクが高まります。背景には、商品を保管する際に適切な固定措置を取らなかったり、走行ルートが狭くて車両が通りづらかったりと、ルールの不徹底や倉庫内の導線の問題があります。また、フォークリフト走行中の急ブレーキによって積載していたパレットが落下し、近くで作業をしていた従業員に衝突した事故も発生しています。
関連記事:フォークリフトの安全対策8例!事故を防止した改善事例や安全意識を高める方法も解説
フォークリフトによる接触や負傷
走行中のフォークリフトが他の作業員に衝突し怪我を負う事故も発生しています。死角の多い走行ルートや作業員同士の合図不足により、後退してきた車両に接触したり、車輪に足を踏まれるケースがあります。加えて作業エリアの区分けが不十分で車両と歩行者の動線が重なることや、現場のコミュニケーション不足も事故の要因です。フォークリフトは倉庫内作業に欠かせないツールである一方、ひとたび事故が発生すると生命を脅かす大惨事に発展しかねません。だからこそ、避けるべき行動や事故防止対策をわかりやすく伝える「安全教育」が現場の安全を左右します。
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熱中症
夏場の倉庫は高温多湿になりやすいうえ、屋外での積み込み・積み降ろし作業も多いため、熱中症のリスクが高まります。空調設備が十分でなく、作業員も休憩や水分補給を後回しにすると、めまいや立ちくらみ、吐き気といった初期症状が現れます。しかし作業に集中しているときは自分の不調を認識しにくく、気づいたときには重症化しているケースも少なくありません。加えて暑さによる体調不良は判断力や集中力の低下を招き、フォークリフトの操作ミスや荷物の取り違え、足元の不注意による転倒など、普段なら起こらないミスを増やします。熱中症対策は体調管理だけでなく、こうしたヒューマンエラーを防ぐためにも重要です。作業中のこまめな休憩や水分補給、異常を感じた際の早めの報告を徹底し、体調の変化を軽視しない意識づくりが求められます。
感電
倉庫で使用する電動工具のコードやプラグが損傷・劣化していたり、水気のある環境で機械を使用したりすると、漏電や感電につながるおそれがあります。特に手や足が濡れていると人体に電気が通りやすくなるため、電気器具を使用する際は水や汗をよく拭き取ることが重要です。
こうした労災は設備の不具合だけでなく、「少しぐらいなら大丈夫」と濡れた手のまま電源を入れる、劣化したコードをそのまま使い続けるといった不安全行動によって発生するケースも多く見られます。安全ルールが形だけになり、慣れや油断が生じると、わずかな行動の誤りが大きな事故につながります。正しい取り扱い手順を繰り返し教育し、不安全行動を放置しない風土づくりが不可欠です。
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有害物質
有害物質による健康被害は、化学品や危険物を扱う特殊な倉庫だけの話ではありません。一般的な倉庫でも、内燃機関を持つエンジン式フォークリフトを長時間使用したことで、作業員が一酸化炭素中毒になった事例があります。原因は換気の不備で、倉庫の出入り口を閉め切った状態で長時間作業したことにより、空気中の一酸化炭素濃度が徐々に上昇し、作業者が気付かないうちに危険なレベルに達したことが考えられます。一酸化炭素中毒への理解不足も災害につながった要素でしょう。これも「少しぐらいなら大丈夫」と換気を怠る、体調の異変を軽視して作業を続けるといった判断ミスが引き金になります。正しい知識と危険予知の意識を持ち、ヒューマンエラーを防ぐ行動を徹底することが求められます。
火災
倉庫内には大量の可燃物を保管しているケースが多く、ひとたび火災が発生すれば甚大な被害に発展する恐れがあります。原因としては、電気機器の故障や過熱、たばこの火の不始末、荷物の自然発火などが挙げられます。加えて消火設備の未整備や通報体制の不備が被害拡大の一因となることもあり、日頃の点検や火元管理、火災予防意識が重要です。火災の多くも設備の不具合だけでなく、決められた喫煙所以外での喫煙、使用後の電気機器の電源切り忘れ、可燃物の近くでの溶接作業など、ちょっとした気の緩みや慣れ=不安全行動によって引き起こされます。設備面の整備だけでなく、従業員一人ひとりが「自分の行動が火災を防ぐ」意識を持ち、日常の作業から不安全行動をなくすことが何より重要です。
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倉庫作業の安全対策は「教育」と「設備・ツール」の2本柱
ここまで見てきたように、倉庫作業には転倒や落下、機械との接触、有害物質による健康被害といったさまざまな危険が潜んでいます。そして重要なのは、これらの事故の多くが、安全意識の不足や作業環境の不備=“仕組みの側”の問題から発生している点です。個々の作業員に「気をつけろ」と求めるだけでは、8種類もの多様な危険を防ぎきることはできません。
事故や災害を未然に防ぐには、安全対策を「教育」と「設備・ツール」の両面から進めることが重要です。安全教育を通じて標準作業の徹底や危険に対する知識の習得と同時に、現場の設備やツールを見直し、危険を最小限に抑える環境を整えます。また、安全対策は一度で終わるものではありません。講じたあとは一定期間ごとに効果を測定し、継続的な見直し・改善を続けることが、「やって終わり」で形骸化させないカギです。
倉庫作業の安全対策【教育面】
教育面では、倉庫作業の正しい手順やルールを伝えるとともに、危険な行為や禁止事項を認識させる安全教育が不可欠です。ここで一貫して意識したいのは、いずれの対策も「個人の記憶や注意に頼る」のではなく「誰が作業しても同じ品質になる仕組み」に変える発想です。具体的には以下の7つの対策が考えられます。
- 作業標準化がなされる仕組み作り
- 安全教育のためのマニュアルや手順書整備
- 危険予知(KY)活動の実施
- ヒヤリハット事例や報告書の共有
- 外国人労働者やパートタイム作業員の教育体制整備
- 5S活動の実施
- 指差呼称や声かけのルール化
作業標準化がなされる仕組み作り
労災や事故の原因の一つに、定められた手順と異なる方法で作業してしまうことがあります。そのため、安全な作業手順を明確にし、現場で継続して実践できる仕組みを整えることが重要です。つまり、作業標準化がなされる仕組みを現場に作れるかどうかが、安全対策の鍵を握ります。大事なのは、あくまで「仕組み」を根付かせる点です。例として、テーブルマーク株式会社では「操作する機械の近くにQRコードを設置し、タブレットで読み込むと機械の操作方法が動画でその場で確認できる」仕組みを整備しています。こうした取り組みによって、「誰が担当しても正しい手順で作業を遂行できる」体制が構築され、新人作業員や経験の浅いパートタイムの方も標準手順で業務を進められます。読み込むマニュアルも映像化されているため、文字の読み込みが最低限で済むのも動画マニュアルの強みです。属人化を解消し作業を標準化する具体的な進め方は、以下の動画で解説しています。
>>脱“我流化”!作業のバラつきを防ぐ「業務標準化」の進め方をみてみる
安全教育のためのマニュアルや手順書整備
倉庫作業の安全を守るには、各工程の標準作業をまとめたマニュアルや手順書が欠かせません。作業ごとのリスクを明確にし、標準化された手順・ルールを徹底させることが重要です。とはいえ、重要性はわかっていても整備する時間が取れない物流企業は多く、特に紙マニュアルは作成も更新も労力がかかり、内容が見にくく「現場で活用されない」問題に悩まされがちです。そこで昨今では、紙より手軽に整備しやすい「動画による安全教育」が導入されつつあります。例えば近鉄コスモスでは、フォークリフト操作の禁止事項を解説する動画マニュアルを作成し、誤った操作や危険な行為への注意喚起を行っています(tebiki現場教育で作成)。スマホ1つで撮影でき、内容によっては撮影から編集まで10分程度で完結するため、多くの物流企業で導入されています。
▼フォークリフトの禁止事項
※tebikiで作成
危険予知(KY)活動の実施
危険予知(KY)活動とは、業務前に「どのような危険が潜んでいるか」を作業者同士で話し合い、危険要因への対策を一人ひとりが実践していく取り組みです。事故や災害には、確認不足などの人的要因に加え、設備・作業方法・作業環境などさまざまな要因が関係します。作業への慣れによって確認が省略されるケースもあるため、KY活動などを通じて継続的に危険を確認することが重要です。毎日の作業にKY活動を組み込むことで、作業員一人ひとりの危険意識が高まり、現場全体で安全を先取りする姿勢が養われます。
特に具体的な手法であるKYT(危険予知訓練)は重要ですが、「文字情報だと何が危険なのかイマイチ伝わらない」「また同じテーマでマンネリ化してしまった」と、形骸化しているとの声もよく耳にします。この形骸化したKYTから脱却し、作業員の危険感受性を本当に高める新しい手法として、近年「動画KYT」が注目されています。その具体的な進め方を以下の資料で詳しく解説しています。
>>労災ゼロ!形骸化したKYTから脱却する「動画KYT」のメリットや実際のサンプル動画をみる
ヒヤリハット事例や報告書の共有
倉庫作業の各工程には、重大な事故に直結する一歩手前の危険(ヒヤリハット)が隠れています。作業員が経験したヒヤリハットは事故の予兆となる重要な情報であり、記録・共有することで現場全体での再発防止につなげられます。ただし、作業員によっては「些細なことだから報告する必要はない」と考える人もいます。こうした意識があると小さな問題や違和感が見逃され、大きな事故につながりかねません。これを防ぐには「気づいたら共有する」文化を根付かせ、現場全体で報告しやすい雰囲気をつくることが大切です。報告書のテンプレートと報告を活性化させるコツは、以下の資料にまとめています。
>>報告書テンプレート付き!報告から教育まで行えるヒヤリハット事例・対策集をみてみる
外国人労働者やパートタイム作業員の教育体制整備
安全教育は倉庫作業に関わる全員を対象に実施すべきです。正社員やベテラン作業員だけでなく、外国人労働者やパートタイム作業員も含め、全員が安全教育を受けられる体制をつくる必要があります。この体制を整えるには、倉庫作業の「動作」を動画で可視化し、標準的な作業手順や禁止事項を実際に見てもらうのが効果的です。文字や言葉だけでは伝えづらい情報も、動画マニュアルを活用すれば正しい動作や危険な行為をわかりやすく、効率的に伝えられます。
5S活動の実施
安全な職場づくりの基本となるのが、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動です。業務に不要なものを片付けずに放置すると、転倒や挟まれなどの事故につながります。5S活動によって作業環境を改善し、危険の芽を早期に取り除くことが大切です。ただし5Sも「かけ声」で終わると定着しません。
「とりあえず綺麗にしよう」といった精神論や一時的なものにとどまらず、従業員全員が当たり前のように安全な環境を維持できる「仕組み」を作ることが不可欠です。
お役立ち資料『【事例つき】5S3定が浸透しない現場の共通点3つと仕組み化の「核」』では、5S活動が形骸化してしまう現場によくあるパターンを紐解きながら、活動を確実に現場へ定着させるための具体的なステップと仕組みづくりのポイントを解説しています。
「何度言っても5Sが続かない」「すぐに元の散らかった状態にリバウンドしてしまう」とお悩みの現場を改善し、安全の土台を強固にするヒントとして、ぜひダウンロードしてご活用ください。
>>【事例つき】5S3定が浸透しない現場の共通点3つと仕組み化の「核」を見てみる
指差呼称や声かけのルール化
倉庫作業で発生する事故は、作業員の確認不足やコミュニケーション不足に起因するものが多く、指差呼称や声かけのルール化・習慣化が有効な対策となります。例えば、フォークリフトを操作する前に「前方ヨシ!」と指を差しながら確認したり、荷物を積み降ろすときに「降ろします!」と声をかけたりと、作業の要所要所で指差呼称や声かけをすることで事故のリスクを減らせます。
関連資料:「安全ヨシ!」はただの掛け声に―形骸化した安全教育を「自分ゴト」に変える最短ルート
倉庫作業の安全対策【設備・ツール面】
設備・ツール面の安全対策では、危険を未然に回避できる仕組みを整えることが重要です。倉庫内の構造や環境を整備し、根本的に「事故が起こりにくい」状態をつくることが作業員の安全確保につながります。具体的には以下の5つの対策が考えられます。
- 作業動線の見直し
- 安全設備の導入
- 保護具の導入
- 倉庫内の環境改善
- システム導入による作業負担の軽減
作業動線の見直し
倉庫内では「歩行者とフォークリフトの通路が交差する」「無駄な移動が多くてあちこち歩き回っている」といった作業動線の問題が起こりがちです。事故を防ぐには走行ルートやレイアウトを見直し、危険を回避する適切な動線を設定する必要があります。作業動線の改善には、以下の見直しが有効です。
| 改善策 | 内容 |
|---|---|
| 動線の分離 | 歩行者とフォークリフトの通行ルートを明確に分ける |
| 通路幅・スペースの確保 | 通路幅や作業スペースは十分な広さを確保する |
| レイアウトの最適化 | 出荷頻度の高い商品を出荷口付近に配置する |
| ロケーションの最適化 | 重い商品は下段、軽い商品は上段に配置する |
安全設備の導入
倉庫内では高い位置にある棚から商品が落下したり、台車に積載した荷物が荷崩れしたりするリスクがあります。こうした事故を防ぐには、棚や商品をしっかりと固定する器具や、台車の荷崩れを防ぐ落下防止装置の導入が有効です。また、作業エリアの区切りとして安全柵を設置することで、作業員とフォークリフトの動線を分離し、接触事故のリスクを減らせます。安全設備の導入は形式的に行われがちですが、形だけの設置では効果が出ないため、正しい使い方を説明する資料や動画を用いて、その重要性を現場で共有することが欠かせません。
保護具の導入
安全設備と同様に、保護具の導入も安全対策の基本です。どれだけ対策を講じても突発的な事故をゼロにするのは難しく、そのときに作業員の体を守る「最後の砦」となるのが保護具です。安全靴やヘルメット、手袋、安全帯といった保護具の着用を徹底させることで、倉庫内の危険から身を守れます。保護具を正しく機能させるには、作業員の体に合った適切なサイズを支給し、定期的に破損や劣化をチェックする点検が必要です。着用が形骸化すれば「最後の砦」が機能しないため、形だけの対策にならないよう、確実な着用が徹底されているかまで含めて管理します。
倉庫内の環境改善
倉庫内の作業環境は、作業員の安全と健康に大きく影響します。照度や温度が適切でない倉庫では、作業員の判断ミスや体調不良が起こりやすく、思わぬ事故にもつながりかねません。照明や空調の調整、換気の確保など、倉庫内の環境を整えることで作業員の集中力が保たれ、作業の安全性も高まります。環境改善は事故の予防だけでなく、現場のモチベーションや作業品質の向上にも寄与します。
システム導入による作業負担の軽減
目視でのピッキングや検品作業は、長時間の立ち作業や繰り返し動作によって体力的な負担が大きく、集中力の低下や判断ミスを招きやすくなります。こうした疲労やストレスが原因で事故や災害の危険が高まるケースも少なくありません。有効なのが「作業のシステム化」です。ハンディターミナルやデジタルピッキング、WMS(倉庫管理システム)などの導入は、作業の効率と正確性を高めるだけでなく、作業員の負担を軽減する安全対策としても大きな役割を果たします。
【事例】倉庫作業の安全対策で労災を未然防止している物流企業
ここでは、教育・設備の両輪を「個人任せから仕組みへ」と形にして労災を未然防止している物流企業3社を紹介します。
ASKUL LOGIST株式会社
ASKUL LOGIST株式会社は、「安全」をすべてに優先させることを行動指針とし、全国15拠点の物流センターで安全対策に取り組んでいます。同社では短時間勤務者、外国籍スタッフ、障がいを持つスタッフなど多様な人材が活躍しており、誰にでも確実に安全ルールを伝え、理解してもらうことが課題でした。従来のOJTや紙マニュアルでは内容のバラつきや理解度の差が生じやすく、特に危険な動作や注意すべきポイント、言語の壁が安全教育の障壁となっていました。そこで同社は動画マニュアル「tebiki現場教育」を全拠点で導入。紙では伝わりにくい危険な動作を視覚的に解説し、図形の挿入や字幕、自動翻訳機能により、国籍や言語、個人の特性に関わらず全ての従業員が安全情報を正確に理解できるよう工夫しています。さらにヒヤリハット事例の共有やKYTにも動画を活用し、現場に近い臨場感で危険感受性を高めています。これにより、導入教育や繰り返し教育の工数を大幅に削減しつつ、安全で標準化された作業を実現しています。
関連資料:かんたん動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育サービス資料」
株式会社ロジパルエクスプレス
株式会社ロジパルエクスプレスでは、物流現場における安全品質の向上と事故・ヒヤリハットの削減を重要課題と捉えていました。従来は拠点ごとに紙のマニュアルが作成され、ルールや作業手順にバラつきが生じていました。また紙媒体では「荷物の積み上げは胸の高さまで」といった安全基準の微妙なニュアンスが正確に伝わりにくく、認識の違いから事故につながるリスクがありました。これらの課題を解決するため、同社は動画マニュアル「tebiki現場教育」を全拠点の従業員約300名を対象に導入。安全に関するルールや正しい作業手順を動画で全拠点で統一し、明確に伝えることが可能になりました。危険な箇所や注意すべきポイントを視覚的に示すことで、従業員一人ひとりの安全意識と理解度を高めています。社内の事故防止強化月間に合わせてフォークリフトのKYTや商品取り扱いルールの安全教育動画を作成し、tebiki上で全拠点に配信。忙しい業務の合間でも効果的な安全教育を実施でき、必要な時にすぐ安全手順を確認できる環境も整備されました。
株式会社フジトランス コーポレーション
株式会社フジトランスコーポレーションは、港湾運送や倉庫業など多岐にわたる物流サービスを提供する中で、働き方改革の一環として安全教育の質の向上と標準化に取り組んでいます。同社では特にフォークリフト作業など「動き」を伴う業務において、講師による指導のニュアンスの違いや受講者の受け取り方の差が課題でした。また安全教育用の動画を内製しようにも、従来の編集ソフトでは作成負担が大きい問題も抱えていました。これらの課題に対し、同社は動画マニュアル「tebiki現場教育」を導入。安全衛生推進部が中心となり、関連法令の解説やリスクアセスメント教育、具体的な作業手順などの教材を作成・活用しています。動画を用いることで、正しい作業の「動き」や危険なポイントを視覚的かつ具体的に示せるようになり、教える側と教わる側の認識のズレを大幅に減らせました。パソコン操作に不慣れな熟練講師でも直感的に扱えるため、現場の知見が詰まった質の高い教育コンテンツを効率的に作成できます。
>>物流現場に特化した動画マニュアル作成ツール「tebiki現場教育」のサービス資料を見てみる
まとめ
倉庫作業には転倒・挟まれ・落下・フォークリフト接触・熱中症・感電・有害物質・火災と、多様な危険が潜んでいます。本記事で繰り返しお伝えした通り、これらの事故の多くは個人の不注意ではなく、安全意識や作業環境=“仕組みの側”の不備から生まれます。だからこそ対策も、「教育」と「設備・ツール」の2本柱で、しかも「教えた」「掲示した」で終わらせず、標準化・動画化して現場に定着させることが要になります。まずは自社のKYやマニュアルが「やって終わり・掲示して終わり」になっていないかを見直し、誰もが同じ基準で学べる仕組みへ変えてください。その具体的な進め方と事例は、以下の資料でご確認いただけます。











