かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」を展開する現場改善ラボ編集部です。
製造業では多くの帳票が発行・記入・保管されており、紙帳票の場合は手書きや押印、保管に手間がかかります。近年はIT技術の発展により帳票の電子化が進み、製造業でもDXや効率化の観点から対応が急務となっています。本記事では、帳票の電子化における課題やペーパーレス化を支援するツールを紹介します。
「紙帳票の電子化は興味があるけど、どのツールが良いかわからない…」「せっかく導入するなら費用対効果があるものを選びたい」とお考えの方も多いはず。現場改善ラボでは、”帳票の電子化を進めるに向けてのガイドブック”もご用意しておりますので、本記事と併せご覧ください。
>>帳票の電子化ツールは何で選ぶべき?導入の進め方完全ガイドブックを読む(無料公開中)
目次
電子化が注目されている理由は?電子帳票システム導入のメリット
製造現場では今も多くの帳票が紙で運用されており、印刷・記入・保管・検索といった一連の作業には多くの手間がかかっています。そうした中で、以下のようなメリットから帳票を電子化する動きが広がってきています。
簡単に帳票を作成できる
紙の帳票の場合、帳票のひな形を定規で作図し、それをコピーして配布するというアナログな手法が一般的でした。現在は多くの現場でExcelやWordといったツールが使われていますが、印刷や配布、手書きでの記入という工程は依然として残っています。また、少し書式を変えるだけでも作り直しが必要で手間がかかります。
一方で電子帳票なら、一度フォーマットを作成すればコピーして再利用できますし、書式や内容の変更もPC上で簡単に行えます。現場でタブレットやノートPCから直接入力することも可能なので、紙の印刷も不要です。
実際に、かんたん電子帳票「tebiki現場分析」を導入した共栄工業株式会社では、帳票作成や記録が簡単になったことで、以下のようなメリットを実感されています。
使用前は、紙にペンで記入していた作業がスマホに代わっただけで作業が本当に楽になるのか疑問でした。しかし、実際に使ってみると、紙に記入していたときよりも圧倒的に入力作業が楽になりました。作業開始・終了時間をボタンで簡単に設定できたり、マスタ連携で製品番号が自動的に表示されたりするため、記録時には作業件数を入力するだけでとても簡単です。
同社の具体的な改善事例は以下のインタビュー記事よりご覧いただけます。
インタビュー記事:1日2時間の集計作業が約1分に。スチール製家具製造の共栄工業のデジタル改革
※「tebiki現場分析」の詳細な詳細な機能や活用イメージがわかるサービス資料はこちら。
管理や保管にかかる手間を削減できる
帳票を紙で管理していると、作成後にファイルへ綴じる、書類箱に収納する、保管棚に並べる、年度ごとに仕分けする、といった保管作業が不可欠になります。さらに、必要な情報を探す際は、棚の前で台帳をめくりながら目的の帳票を探すという手間が発生します。
しかし、帳票を電子化すればこれらの煩雑な作業はほぼ不要になります。記入から保管まですべてPCやタブレット上で完結されるため、誰が・いつ・どの内容を記録したかが明確に残ります。また、フォルダを年度やカテゴリで分けて管理すれば、キーワード検索だけで必要な帳票にすぐアクセスでき、探す時間を大幅に削減できます。
これにより、紙では難しかった「整理と活用のしやすさ」が飛躍的に向上します。
データを即座に確認できる
紙帳票では、内容を確認するためにキャビネットや倉庫に移動し、書類を探し出す必要がありました。また、記入者がその場にいないと補足説明を受けることが難しく、確認に時間がかかることも多々あります。
電子帳票であれば、保存されたデータを社内のネットワーク経由で即座に確認できます。現場で入力された情報もリアルタイムに反映されるため、作業状況や記録内容をタイムラグなしで把握できます。
たとえば、ある製品の不良発生に気づいた担当者が現場で記録すれば、管理者が事務所のPCからその情報をすぐに確認し、早期に対応することが可能になります。異なる部署間や工場間でも同一の帳票を閲覧できるため、よりスムーズな情報交換や連携も実現するでしょう。
実際に、リアルタイムな情報確認や異常検知も行える電子帳票「tebiki現場分析」を導入した株式会社日本電気化学工業所では、現場データを即座に確認できるようになったことでトラブルの未然防止に成功しています。
最も顕著な変化は、データのリアルタイム監視が可能になったことです。例えば、製造工程における重要なパラメーターをリアルタイムで確認できるようになり、異常の早期発見と迅速な対応が可能になりました。以前は日々の記録を事後的に分析していましたが、現在では即時に変化を捉え、品質問題を未然に防ぐことができるようになりました。
同社が実感している現場改善の詳細については、以下のインタビュー記事をご覧ください。
インタビュー記事:品質不良の未然防止をリアルタイムデータで実現。異常値検知を迅速にできた理由。
※「tebiki現場分析」の詳細な詳細な機能や活用イメージがわかるサービス資料はこちら。
情報漏洩や紛失のリスクを低減できる
紙の帳票は、保管場所によっては誰でも閲覧・持ち出しができてしまうリスクがあります。万が一、社外に持ち出されたり、紛失してしまった場合のリスクは計り知れません。
電子帳票では、アクセス権限の設定やファイルへのパスワード保護、アクセス履歴の記録が可能です。これにより、必要な人だけが必要な情報にアクセスできるようになり、不正閲覧やデータの漏洩、意図しない改ざんを防ぐことができます。セキュリティの強化は、取引先との信頼関係維持にもつながる重要な要素です。
蓄積したデータを活用できる
紙帳票では、日々の記録を「残す」ことはできても、それを「活かす」ための分析に結びつけるのは困難です。過去の記録を読み返すためには膨大な量の紙を探し、データを手入力してまとめ直す必要があります。
一方、電子帳票では日々のデータを蓄積することが可能なため、集計や分析がスムーズに行えます。売上や稼働率、不良発生件数などの推移を簡単にグラフ化でき、傾向を把握して予防策を講じることができます。
こうしたデータ活用は、品質向上・生産性向上・コスト削減といった現場の改善活動に直結します。特に、「記録はしているが、分析や改善まで手が回らない」と感じている現場には、電子化が大きな一歩になるはずです。
上記のようなメリットがある電子帳票ですが、いざ導入を検討しようと思っても「何からはじめればいいの?」とお悩みではないでしょうか。そこで、帳票の電子化を進めるうえでのガイドブックをご用意いたしました。導入手順や費用対効果が算出できるシートなどが含まれているため、是非お役立てください。
現場帳票を電子化する方法は?
私たちが、tebiki現場分析による製造現場の課題解決を支援している中で、現場帳票の電子化を進める方法として以下の4ステップをご提示することが多いです。

製造現場で使用されている現場帳票は膨大にあるので、いきなりすべてを電子化することは現実的ではありません。大きな変更は、時に現場の従業員からの抵抗を生み出してしまいます。
そこで、使用している現場帳票のうち電子化の優先度を整理し、優先度が高いものから電子化することをオススメしています。
各ステップの具体的なアクションは、別紙の「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」で詳しく解説しています。以下のリンクをクリックして資料をご覧ください。
【比較】現場帳票を電子化できる主要なツールやシステム
現場帳票の電子化を進めていく場合、比較検討によく挙げられるツールは以下の5つでしょう。
- tebiki現場分析
- i-Reporter
- XC Gate
- JoyCoMES Re
- カミナシレポート
ここでは主要5ツールの機能概要や特徴について、2024年11月時点の各ホームページの内容をもとにご紹介します。
tebiki現場分析
かんたんデジタル現場帳票「tebiki現場分析」は、現場帳票をクラウド上でかんたんに作成・記録・承認・管理ができるだけでなく、ダッシュボード機能によって現場のボトルネックや異常をリアルタイムで可視化できるツールです。

製造現場で使用されているPCや外部モニターはもちろん、スマートフォンやタブレットのような縦型の端末でも記入や閲覧できる画面になっており、製造現場で使いやすい機能が複数搭載されています。
シンプルな操作画面で、直感的に現場帳票のひな形を作成することができるほか、入力時の正常値設定やExcelのような表形式による記録も行えます。記録データは自動グラフ作成機能によって、複雑な関数やマクロを組まなくても、かんたんに現場の可視化/データ分析が行えます。
主な特徴は以下の通りです。
- 項目ごとに正常値設定が可能:正常値以外の記録は異常値として管理者にアラートが届く
- 使いやすいインターフェース:デジタル端末に不慣れでもかんたんに操作可能
- 正しい現場データを蓄積できる:マスタの登録、バーコード読取による情報入力、画像のアップも可能
- データ分析の専門知識は不要:パレート図や管理図、テーブル形式の表示が自動で更新
帳票の検索機能やCSV出力など、管理面の機能も取り揃えています。導入後は専任のサポート担当者が伴走し、現場帳票の電子化を通じた品質向上/生産性向上をご支援しています。契約プランは、エントリー/ビジネス/エンタープライズの3つをご用意しています。
tebiki現場分析のより詳細な情報は、以下の画像をクリックして概要資料をご覧ください。『導入事例を知りたい!』という方は、後述の『tebiki現場分析による業務改善事例』をご覧ください。
i-Reporter
「i-Reporter」は、製造業に限らず、建設業や物流業、サービス業など多様な業界で利用されているデジタル帳票ツールです。現場帳票の電子化に特化しており、タブレットでの操作で現場の記録・報告業務を完結させることが可能です。
帳票のひな形はExcelやPDFから簡単に作成でき、記録データも管理画面で一括閲覧・編集ができるため、業務効率の向上が期待できます。
主な特徴は以下の通りです。
- タブレット一台で完結:現場での帳票記録・報告がスムーズ。
- 柔軟な帳票設計:自由度が高く、さまざまな業務に対応。
- 外部システム連携に強み:ERPなどと連携し、データの一元管理が可能。
i-Reporterのプランにはクラウド版と自社サーバープランがあり、最小5ユーザーから月額37,500円で利用可能です。
XC-Gate
「XC-Gate」は、現場帳票の電子化を促進し、製造業をはじめ多様な業界のDXを促進するためのツールです。従来の紙帳票やExcel帳票を電子化し、現場で直接入力・保存するためのWebアプリとして利用できる点が特徴です。特に紙ベースの帳票をそのままのレイアウトで電子化できるなど、直感的な操作を重視しています。
主な特徴は以下の通りです。
- Excelで簡単に画面設計:Excelから帳票を設計し、入力用のWeb画面として変換可能。
- リアルタイムでのデータベース化:登録データは即座にデータベース化され、管理者が容易に検索・活用できる。
- 業務集計機能:月次報告やデータ集計などの管理業務にも活用可能。
サポートとして、導入時に操作指導が受けられるほか、ユーザー専用のサポートサイトも整備されています。XC-Gateもクラウド版とオンプレミス版の2つを展開しています。最小で10ユーザーから月額40,000円で利用可能です。
JoyCoMES Re
「JoyCoMES Re」は東京ガスが提供する帳票電子化ツールで、製造業を中心に建設業や小売業などのペーパーレス化を支援しています。既存のExcel帳票をそのままタブレットで入力できるため、使い慣れたフォーマットをそのまま活用しながら電子化を進めることが可能です。
マルチデバイス対応で、iOS、Windows、Androidに対応し、入力や閲覧をどこでも行える点が便利です。
主な特徴は以下の通りです。
- Excel帳票をそのまま活用:既存のExcel帳票を直接変換し、そのまま入力可能。
- ワークフロー機能:承認などのフローをデジタルで行えるため、処理の迅速化が期待できる。
- 柔軟なカスタマイズ:ユーザー自身が画面や機能をカスタマイズしやすく、独自の帳票設計が可能。
導入後最短1日で運用を開始できる手軽さと、Excelベースの自由度の高い帳票作成機能が特徴です。
カミナシレポート
「カミナシレポート」は、現場帳票の電子化を通じて品質管理や記録の可視化に役立つツールです。現場作業の手順やチェック項目をナビゲーション付きで表示し、従業員がミスなく作業を進められるようサポートできる点が特徴です。
また、多言語対応がされており外国人スタッフも簡単に利用できるため、多様な従業員が働く現場でも導入しやすい点が魅力です。
主な特徴は以下の通りです。
- 直感的な操作性:誰でも簡単にナビ付きのチェックシートで操作が可能。
- 自動エラーチェック機能:記入漏れや入力ミスを防止し、記録の信頼性を確保。
- 多言語対応:40ヵ国語以上の言語に対応しており、外国人スタッフの作業をサポート。
導入後のサポートとして活用できる利用マニュアルや、カスタマイズ機能も充実しています。
ここまで、様々な現場帳票の電子化ツールについてご紹介しました。一方で、「慣れ親しんだ紙の帳票からいきなり電子化に踏み切れるのか…」「電子化によるデメリットはないのか?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、次章では私たちが耳にすることの多い「帳票の電子化にありがちな失敗パターン」をご紹介します。
導入しても効果がない?電子帳票システムにありがちな失敗パターン
電子帳票システムを導入する企業が増えている一方、「せっかく導入したのに、現場では使われていない」「紙より不便になったと言われた」といった失敗事例も少なくありません。
効果が出ない背景には、導入時の見落としや運用面の課題が潜んでいます。ここでは、電子帳票システム導入でありがちな失敗パターンを5つご紹介します。
- 帳票作成や記録が難しく属人化してしまう
- Excel形式をそのまま電子化してしまう
- 電子化・ペーパーレス化のみが目的で費用対効果が見合わない
- トライアルなどで事前に比較検証ができない
- 導入時や導入後のサポートが得られない
帳票作成や記録が難しく属人化してしまう
電子帳票の活用が現場で進まない最大の理由のひとつが、「操作の難しさ」です。帳票の作成や記録が専門的な知識を必要とするシステムであれば、結局「できる人」しか使えず、運用が属人化してしまいます。たとえば、関数の設定が複雑だったり、入力欄のカスタマイズに時間がかかったりと、ひとたび業務が滞れば「詳しいあの人」に頼らざるを得ない状況が発生します。
また、新人やパート社員などが使いこなせず、結局紙に記録してからデジタルに転記するという“二度手間”の運用が生まれてしまうことも。これでは効率化どころか、逆に業務の負担を増やしてしまいかねません。「誰でも、かんたんに使える」設計でなければ、活用は広がらないのです。
Excel形式をそのまま電子化してしまう
「今使っている帳票をそのままシステムに移行すればいい」と考え、紙帳票やExcel帳票のレイアウトをそのまま電子化してしまうケースも見受けられます。一見、移行がスムーズに見えるこの方法ですが、実は多くの落とし穴があります。
例として、紙帳票のように1枚に複数の情報を詰め込んだ形式では、モバイル端末での入力が難しくなるケースが考えられます。スクロールや拡大縮小が頻繁に必要になることで現場の作業者にストレスがかかり、記録ミスの原因にもなりかねません。さらに自由入力欄が多かったり、複雑な表形式をそのまま使ったりすると、集計やデータ分析にも大きな手間がかかります。
電子帳票のメリットは、「記録されたデータを、あとから簡単に活用できる」ことです。見た目を紙帳票に合わせるだけでは、そのメリットを活かしきれません。
電子化・ペーパーレス化のみが目的で費用対効果が見合わない
「紙をなくす」「電子化を進める」という目標だけを掲げて電子帳票を導入した場合、思ったほどの効果が得られず、投資が無駄になってしまうことがあります。ペーパーレスはあくまで“結果”であって“目的”ではありません。システム導入の本質的な目的は業務の効率化や品質の向上、トレーサビリティの確保など、業務全体の最適化にあります。
実際、電子帳票システムは一定のコストがかかります。初期費用や月額利用料に加えて、現場の運用を変更するための教育や移行にも時間とコストがかかるため、「紙を減らすだけ」では、費用対効果は見合いません。
帳票を電子化することで、例えば作業時間が短縮された、報告業務が自動化された、リアルタイムで異常に気づけるようになった、など“具体的な成果”がなければ、本来の価値を実感することは難しいでしょう。
トライアルなどで事前に比較検証ができない
導入前に実際の現場で試せる環境がないまま、「デモ画面だけ」「営業資料だけ」をもとにシステムを選定してしまうと、現場での使い勝手とのギャップに悩まされることもあり得ます。特に、現場での運用が想定以上に煩雑だったり、記録の手間が増えてしまったとすれば、「紙の方がマシだった」という不満の声が上がりかねません。
さらに、導入の決定をするのが管理部門、実際に使用するのが現場スタッフという場合、両者の視点のズレも問題を大きくします。現場では「なんでこんな使いにくいシステムを入れたの?」という反発も起きやすく、最悪の場合、帳票が現場に定着せず、形だけの導入に終わってしまうこともあります。
導入時や導入後のサポートが得られない
どんなに優れたシステムでも、実際に使っていく中では必ず「分からないこと」「困ること」が出てきます。にもかかわらず、導入時の初期設定支援や運用後のトラブル対応、使い方の相談が十分に提供されないと、現場での不安や不満が積み重なり、やがて誰も使わなくなってしまいます。
特に、システムに不慣れな現場スタッフが多い場合、「この帳票の項目を変えたいけどどうすれば…」「入力方法が分からない」といった小さな課題が放置されがちです。そうした課題に対してすぐに相談できる相手がいないと、「もう紙でいいや」と後戻りしてしまうのです。
“導入して終わり”ではなく、“運用に乗るまで・乗ってから”の継続的なサポート体制があるかどうかも、システム選定時に確認すべき重要なポイントです。
製造業で活用できる電子帳票システム選びのポイント
先述した「失敗パターン」を避け、帳票の電子化によるメリットを最大限享受するには電子帳票のシステム選びが肝心です。自社の業務改善の目標などを明確にし、複数の要素を比較検討することが求められます。
ここでは以下4つの観点から、効果的なツールの選び方を解説します。
上記で挙げたポイントを満たし、費用対効果があるツールかどうか?を簡単に算出できるシートを内包した「はじめての現場帳票デジタル化ガイド」もご用意しております。本記事と併せ帳票の電子化をサポートする内容になっているため、是非お役立てください。
誰でも簡単に作成・記録できる
システム導入には現場での抵抗が伴いやすいため、使用者にとって「負担が少ない」操作性が重要です。従業員が使いこなせなければせっかくのツールも形骸化してしまうため、実際に使う人たちが「かんたん!」と感じられる操作性かどうかを重視しましょう。
例えば、直感的な画面やわかりやすいメニュー構成、業務の流れに沿ったシンプルな操作手順などが求められます。さらに、導入初期段階で操作説明会を開催したり、現場の実際の作業を想定したトレーニングを行うことで、従業員が安心してシステムを使い始められる環境を整えることも重要です。
さらに、システム導入後も利用状況のフィードバックを受けて改善を重ねることが大切です。現場で実際に使われる中で浮き彫りになる課題を解決し続けることで、使用者にとっての「使いやすさ」が保たれ、システムが定着していきます。
業務改善や生産性向上につなげられる
システム導入の判断には、費用対効果の視点も欠かせません。単純なコストのみで判断するのではなく、システム導入によってどのような業務改善が実現され、最終的にどのような価値が生み出されるのか=生産性が向上するのかという点を比較して検討する必要があります。
業務改善や生産性向上の実現のために求められる代表的な機能としては、記録したデータをリアルタイムで集約し、分析できる仕組みが挙げられます。
製造業のケースであれば、システム導入によって設備稼働データのリアルタイム収集が可能になり、不良発生の早期検知や予知保全の精度向上につながるケースが考えられます。この結果、ダウンタイムの削減や製品品質の向上が実現し、それが顧客満足度の向上やリピート受注に貢献するといった具体的な価値を生み出す可能性があります。
また、従来紙で管理していた帳票類を電子化することで書類の検索時間が大幅に短縮され、意思決定までのスピードアップが図れる事例もあります。このように「間接的な効果」も見逃さず、全体的な効率化による長期的な価値創出を視野に入れることが重要です。
事前にトライアルで試験運用ができる
製造現場では業種や工程ごとに運用のクセや帳票の種類が異なるため、電子帳票システムが自社の業務に本当に適合するかどうかは、実際に使ってみなければわかりません。そのため、導入前に現場環境でのトライアル運用ができるかどうかは非常に重要なポイントです。
帳票の入力方法や閲覧方法が現場の作業フローに無理なくなじむか、入力項目のカスタマイズ性は十分か、ネットワーク環境に左右されずスムーズに操作できるかなど、実際の現場で試験的に運用してはじめて見えてくる課題があります。こうした検証を事前に行うことで、「導入後に現場で使われない」「帳票設計に時間がかかる」といった失敗リスクを大きく減らすことができます。
また、トライアルを通じて現場の声を反映した設定や改善が可能になり、現場の納得感も高まります。導入の意思決定に関わる関係者への説明材料としても活用できるため、トライアル運用はシステム選定の重要なステップといえるでしょう。
導入後も継続的なサポートがある
製造現場でのシステム導入は、導入時点で完了するものではありません。現場での運用が始まってからも、操作に関する疑問やシステムトラブル、業務フローの変更に伴う設定変更など、さまざまな課題が生じます。こうした課題に適切に対応できるかどうかは、システムの定着率や長期的な効果に直結します。
そのため、導入後のサポート体制が充実しているかは非常に重要な選定ポイントです。具体的には、導入時の初期設定支援やスタッフ向けの操作教育、電話やオンラインでの問い合わせ対応、定期的なバージョンアップや改善提案などが挙げられます。特に現場のITリテラシーに差がある場合、気軽に相談できる窓口があることは安心材料となります。
また、利用状況のモニタリングを行い、現場からのフィードバックをもとにシステム改善を継続的に行うベンダーであれば、運用に乗ったあとも快適に使い続けられます。システムは「導入して終わり」ではなく、「使い続けて効果を最大化していく」ことが最も重要です。
電子帳票システム選びに迷ったら「tebiki現場分析」がおすすめ
今回ご紹介した4つの観点にマッチした電子帳票システムをお探しの方には、私たちが展開する現場帳票電子化ツール「tebiki現場分析」がおすすめです。

「現場にやさしい」ことを目指して開発された「tebiki現場分析」には、現場の課題を解決する様々な機能が備わっています。詳細は先述した『tebiki現場分析』のほか、以下のハンドブック内で詳しくご紹介しています。
電子化・ペーパーレス化の先にある、業務改善や生産性向上などの「現場カイゼン」を目指したい方は、是非ご覧ください。
>>「導入して良かった!」を叶える、現場にやさしいtebiki現場分析の特徴を見てみる(無料DL)
tebiki現場分析による業務改善事例
ここからは、tebiki現場分析を導入して業務改善を実現した事例として、以下2社の声をご紹介します。
- 共栄工業株式会社:現場帳票の集計を1日1分まで削減!翌日には改善策を実施
- 株式会社日本電気化学工業所:現場の異常をリアルタイムで検知!品質不良の発生を未然防止
共栄工業株式会社
スチール製家具の生産・販売を行う同社では、製品の品質管理やISO9001の運用のために、製造工程の記録を現場帳票で残していました。一方で、紙やExcelで運用していた現場では様々な課題を抱えていました。そこでtebiki現場分析を活用し、現場帳票の電子化に取り組んだところ、以下のような業務改善を実現しています。
導入前の課題 | tebiki現場分析導入による改善効果 |
---|---|
・分析や現場改善ではなく、記録することが目的に ・紙からExcelの転記に1日2時間かけ、管理者の負担に ・日々の生産管理/進捗管理に追われ、分析や改善が後回しに | ・管理者の集計作業が、1日2時間から約1分まで削減 ・ダッシュボード/グラフ化機能で、分析から業務改善までを効率化 ・記録データをもとに、設備トラブルの予防措置が実行できるように ・作業実績がリアルタイムで分かり、他部門の進捗が可視化されるように |
tebiki現場分析を活用し、現場帳票の付帯業務を効率化するだけでなく、生産活動や製造現場の状況をリアルタイムに可視化し、意思決定がスムーズになった電子化の成功事例の1つです。
具体的な内容を知りたい方は、以下のインタビュー記事も併せてご覧ください。
インタビュー記事:1日2時間の集計作業が約1分に。スチール製家具製造の共栄工業のデジタル改革
株式会社日本電気化学工業所
建材や車両などアルミニウムの表面処理を専門に行う同社では、温度管理や日常点検といった日々の業務の記録を紙による点検票で運用していました。一方で、現場では紙帳票ならではの課題を感じていました。そこでtebiki現場分析を活用し、点検表をはじめとする現場帳票の電子化に取り組み、以下のような業務改善を実現しています。
導入前の課題 | tebiki現場分析導入による改善効果 |
---|---|
・記録そのものが目的化し、収集したデータを改善活動につなげることが困難 ・異常値の検出に時間を要し、迅速な対応が難しい ・各現場を巡回し、個々の帳票を確認して押印するなど承認プロセスが非効率性 | ・タブレット端末による入力で手書き時代と比べて入力ミスが減少し、作業時間が短縮 ・データのリアルタイム監視が可能になり、品質問題の未然防止に活用 ・異常値を即座に検知し管理者に通知する機能により、異常の早期発見と迅速な対応が実現 |
特に同社では、温度データをリアルタイムで確認できたことでわずかな温度低下を発見し、現場で詳細な点検を行ったところ、配管の小さな穴を発見しています。
この早期発見により、大規模な故障や生産ラインの停止といった深刻な事態を未然に防ぐことができました。「もし従来の紙ベースの記録管理だったら、このような微細な変化を見逃してしまい、問題が大きくなってから気づいたかもしれません。」と、tebiki現場分析導入の効果を実感されています。
具体的な内容を知りたい方は、以下のインタビュー記事も併せてご覧ください。
インタビュー記事:品質不良の未然防止をリアルタイムデータで実現。異常値検知を迅速にできた理由。
まとめ
本記事では製造現場で注目が高まる「現場帳票の電子化」について、その導入メリットや進め方、さらには主要ツールの比較までを幅広く解説しました。
電子帳票は単なる「紙の置き換え」にとどまらず、現場のデータを資産として活用し、より迅速かつ的確な意思決定を促す仕組みでもあります。今後、製造業のDXを進めていくうえでも、現場帳票の電子化は避けて通れないテーマと言えるでしょう。是非本記事を参考に、貴社の現場帳票の見直しと改善に取り組んでみてください。
特におすすめな電子帳票ツールとしては、本記事でも解説した「tebiki現場分析」が挙げられます。誰でも簡単にデジタル帳票を作成でき、異常値アラートやデータ分析機能を備えたtebiki現場分析の導入により、現場の負担を減らしながら業務効率化や生産性、品質の向上が見込めるでしょう。是非活用し、効率的で生産性の高い製造現場の実現にお役立てください。
tebiki現場分析の詳細な資料は以下の画像からもダウンロードできますので、是非ご覧ください。
【おまけ】製造業における帳票の種類
製造現場では多くの書類が使われていますが、非常に多くの場面で多く取り扱われているのが帳票です。そもそも帳票とは、主に「帳簿」や「伝票」といったお金や品物の出納を記した書類のことを指します。
製造業においては、製造のプロセスや製品の取引に関連する書類も「帳票」と称されます。ここでは製造業で多く使われる、いわゆる「現場帳票」と、業界を問わず幅広く使われる帳票の例について解説します。
製造業で使われる帳票(現場帳票)の例
製造現場では多くの帳票が使われています。ここではよく使われるものを以下に説明します。
目的 | 具体例 | |
---|---|---|
作業指示書 | 作業者に内容・手順・数量などを明確に伝え、ミスを防ぐ | 品番A123:部品Xを4個取り付け、工程Bまで進める。開始日:5/10、完了予定日:5/11 |
作業日報 | 作業内容・進捗を記録し、現場の見える化と改善に活用 | ミカンを1000個選別し、S:300個、M:400個、L:250個、痛み:50個と記録 |
現品票 | 製品の識別や数量を明記し、在庫・流通を正確に管理 | 部品入りトレイに「品番1234・ロットA1・数量50個」の現品票を貼付 |
検査成績書 | 品質基準に合格したことを示す記録で、保証やトレーサビリティに使用 | 品番123のロットA1について「外径:10.0mm(規格9.9~10.1)、硬度:60(規格55~65)→合格」と記載 |
出荷指示書 | 出荷製品と数量を明確にし、誤出荷を防ぐ | 得意先Xに「品番5678・200個」を出荷指示 |
設備点検表 | 設備状態を定期的に確認し、故障予防や安全を確保 | 日常点検で「温度正常・異常なし」にチェックを入れ、設備に貼付 |
出来高報告書 | 生産実績を記録し、進捗や稼働の状況を把握する | 5月20日:品番789、投入100個、完了80個、仕掛かり20個と記録 |
製造業以外でも使われる帳票の例
製造業に限らず、会社では取引記録に関する帳票類が扱われていますが、以下の代表的なものについて紹介します。
目的 | 具体例 | |
---|---|---|
仕訳帳 | すべての取引を記録し、金銭の流れを把握する ※税法上の保管義務あり | 「電気代5,000円を振込」→ 借方:光熱費 5,000円/貸方:普通預金 5,000円と記録 |
総勘定元帳 | 勘定科目ごとに取引を集計し、財務諸表の基礎とする ※税法上の保管義務あり | 「光熱費」の項目に月ごとの電気代・ガス代・水道代の支出が集計されて記録される |
見積書 | 価格・条件を事前に示し、取引判断の材料にする | ミカンSサイズ1kg:500円、2kg:800円、送料300円 → 合計1,600円の見積書 |
請求書 | 提供後の代金を請求するために発行する証憑 | ミカンSサイズ2kg(800円)×2=1,600円+送料300円 → 合計1,900円の請求書 |
納品書 | 商品の納入内容を明示し、受け渡しの証明とする | 注文内容:ミカンSサイズ2kg×2 → 納品書に品名・数量・金額を記載し商品に同梱 |
給与明細 | 支給・控除の内訳を示し、手取り額を明確に伝える | 基本給:200,000円、手当合計:50,000円、控除:社会保険35,000円 → 手取り:215,000円 |